「リカ・キヒラがNHK杯に暴風を連れてきた」「スター誕生」「驚異的怪物だ」──。11月9~11日に行われたフィギュアスケートGPシリーズ・NHK杯で優勝し、一夜にして世界中の注目を集めることとなった紀平梨花(16才)。シニアデビュー戦でのGPシリーズ優勝は、浅田真央(28才)でさえなしえなかった日本人としては初となる偉業だ。
紀平がスケート教室に通い始めたのは5才の頃。小学1年生からは個人レッスンも開始した。
紀平が中学に進学すると、一家は住んでいた一戸建てを売却し、引っ越し。それも娘がスケートの練習に集中できるように、と考えてのことだった。
「進学した中学が自宅から遠く、通学の往復のためにスケートの時間を削らなくてはいけなくなった。“時間がもったいない”と、学校とリンクに通いやすいところに引っ越したんです。お母さんはその後も送迎を続け、都合がつかない時にはおじいちゃんも送り迎え。“勉強もおろそかにしちゃいけない”と、お母さんはママ友に“いい塾を知りませんか”と相談していました。まさに一家総出で梨花ちゃんを支えていたんです」(近隣住民)
献身は実を結んだ。紀平はジュニア時代から頭角を現し、14才の2016年9月のジュニアGPでは、フィギュア女子で史上7人目となるトリプルアクセルを成功させて優勝、脚光を浴びた。昨年11月の全日本ジュニア選手権で初優勝、全日本選手権でも表彰台に立った。今シーズンからシニア入りし、今年9月にスロバキアで行われた国際大会で優勝。迎えたNHK杯で、快挙を達成した。
快進撃を続ける紀平だが、彼女の目標はすでに次のステージに向かっている。
「今年2月、ロシアの13才の選手が世界ジュニア選手権で4回転サルコウを成功させ、フィギュア界に衝撃が走りました。他のロシア人選手も練習では4回転を成功させていて、2022年の北京五輪からは女子も『4回転時代』に突入するといわれています。紀平選手も昨夏から本格的に4回転トウループと4回転サルコウの練習を始めました。すでに練習では何度も成功させています。来シーズンからプログラムに取り入れるつもりだそうです」(スポーツ紙記者)
紀平は技術だけでなく、スケートにかける思いも強い。全日制の高校に通う選手が多い中、スケートに専念するため、通信制の高校を選んだ。