誰がこの活躍を予想したか──。日本球界に復帰してから「給料泥棒」と批判され続けた末に、背番号は「99」、年俸は「1500万円」と、堕ちるところまで堕ちた。その男が来年は再び背番号「18」を纏う。平成の怪物はいかにして甦ったのか。
今季6勝4敗、防御率3.74の成績を挙げた中日・松坂大輔(38)が11月12日にカムバック賞を受賞した。背番号も「18」に変更され、プロ入り以来、長年慣れ親しんだエースナンバーを2年ぶりに取り戻した。1500万円だった年俸は1億円の大台にアップする見通しだ。
横浜高校時代は春夏甲子園を連覇、レッドソックス在籍時にはワールドチャンピオンリングを手にし、WBCでは2度もMVPに輝いた。球界の頂点を極めた男は、2015年の日本球界復帰以降、“地獄”で喘いだ。
右肩の故障により、ソフトバンクに在籍した3年間で一軍登板はわずか一度。3年12億円の大型契約とあって、メディアのみならずファンからも給料泥棒と揶揄された。昨年11月5日に自由契約が報じられるや、誰しもが“これで終わりか”という感想を抱いたろう。
それが中日に移籍した今年、見違えるほどの復活を遂げたのである。一体、なぜ──。「右肩の故障の回復」だけでは語り尽くせない秘密があった。
●投球の「意識的」な変化