「視聴率女優」という存在はある意味酷だ。イメージと異なる役柄に挑戦することで反発も招きやすくなる。有村架純がいま、直面しているのはそういう状況なのかもしれない。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
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有村架純主演のドラマ『中学聖日記』(TBS系火曜日午後10時)は、ある意味興味深い「問題作」です。スタート時から「中学校の教員と生徒の恋愛は犯罪にならないのか」と物議を醸し、「生徒役の岡田健史くんがとても中学生には見えない」といった人物設定に対する不満や、「タイトルがAVを連想させる」という違和感まで議論百出。通常はなかなか見られない異色の反応が耳に入ります。
では、そもそもテレビ局の思惑はどうだったのでしょう? 事前の見込みとは? もちろんテレビ局は情報産業のプロですし、こうしたマイナスの反響も予想していたはず。となると、「中学生と教師の恋愛」というドラマ設定は、ある意味炎上狙いか?……しかしそれならば高視聴率をゲットしなければ目的は達成されないわけです。
今のところ視聴率の数字は6~7%あたり。これをいったいどう評価すればいいのでしょうか?
肯定的な評判も、もちろん無いわけではありません。例えば、大型新人としてデビューした男子生徒・晶役の岡田健史さんについて「超新星」「次回作が楽しみ」「ちょっと前までシロウトとは思えない演技派」といった賛辞が多く目につきます。端正なその顔だち、スラリとした身長、立ち姿が美しく役者向きでしょう。
一方、演技は……ニコリとしない固い表情、それがまさに若い男性のぎこちなさを的確に表現している、とも言える。強い意志も感じます。まだデビュー作ですから、演技はこれからの伸びしろに期待したいところ。今のところ5000人の候補者から選ばれた将来が楽しみな人材、と言ってよいのではないでしょうか。
それでは……主役に対する評判はどうなのでしょう? 人気女優でありまさに看板をはっている有村架純さんは?
振り返れば昨年のNHK朝ドラ『ひよっこ』で、大評判をとった有村さん。「みねこ人気」で世は沸きました。「茨城弁の訛りが素朴」「笑顔がかわいい」「爽やかで親近感のある可愛さ」と賞賛が集まったことも記憶に新しい。「昭和」という時代を描く『ひよっこ』の脚本にもピタリとはまったキャラクターで、「国民的清純派女優の名を独り占め」とまで言われ、高い評価を得ました。