香港と対岸のマカオ、さらに中国・珠海を結ぶ世界最長の海上大橋「港珠澳大橋」(全長約55km)が10月下旬に完成したが、その裏では、大橋周辺の海域を生息域としている通称「ピンクイルカ」の頭数が激減していることが明らかになった。
逆に、中国大陸近海で生息しているピンクイルカは、2017年は前年比10%以上の増加となっており、香港や広東省沖海域のピンクイルカ減少は大橋建設の影響が大きいことが窺われる。今後も大橋の交通量が増えれば、頭数の減少に拍車がかかる恐れがあると専門家は指摘している。香港紙「明報」が報じた。
ピンクイルカの正式名は「シナウスイロイルカ(中華白海豚)」だ。ピンクイルカ保護に取り組む香港の団体「香港イルカ保護学会」の調査に基づき、香港政府が発表した報告によると、2017年の生息頭数は前年度と同じ47頭で、統計が始まった2003年の188頭と比べると4分の1だ。
また、香港イルカ保護学会が、香港海域でのピンクイルカの過去149回の出産記録を調査したところ、生まれてきた子供イルカの4割超がその後、行方不明になっており、イルカ全体の頭数の減少に大きな原因になっているという。
一方、香港海域とマカオや珠海など港珠澳大橋周辺の海域での生息数は2016年度が957頭、2017年度は945頭と、やはり大橋の工事進展に伴い徐々に減少している。
港珠澳大橋は2009年12月15日に着工し、投資総額は約1100億元(約1兆8700億円)で、ほぼ9年間の工事期間を経て今年10月23日、習近平国家主席も出席して、珠海で盛大な開通式が行われた。