グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(69)が“人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクト。渡辺氏は、自然な笑顔を引き出すべく、撮影する人に「一品」を持ってきてもらって、それにまつわるエピソードを聞きながら撮影する。
芸歴50年を超える俳優・タレントの石倉三郎が持ってきたのは、高倉健から結婚祝いに手渡されたペンダントだ。
「東映来るか? ギャラ出るぞ」
役者志望だったバイト三昧の石倉青年に、そう声をかけたのは高倉健だった。まさに僥倖。以降、恩義あるその人は、身に余る言葉を数多くかけてくれた。
結婚祝いに贈られたペンダントの裏にも、“冷に耐え 苦に耐え 煩に耐え 閑に耐え 激せず 騒がず 競わず 従わず もって大事をなすべし”の刻印が。