尿漏れを初めて経験する精神的ダメージは大きいと経験者は口を揃えるが、その先に重大疾患を引き起こすケースもある。東京都リハビリテーション病院副院長の鈴木康之医師(泌尿器科)が語る。
「くしゃみや咳、重い荷物を持つなど、お腹に力が入ったときに漏れ出てしまう『腹圧性尿失禁』や、尿を出し終えた後に漏れてしまう『排尿後尿滴下』などは、尿道に残った尿が漏れるタイプで、重大な疾患にはつながりません。
それに対し、膀胱自体に尿が溜まって溢れ出てしまう『溢流性(いつりゅうせい)尿失禁』があります。膀胱に収まりきらない尿が腎臓の方向へ逆流すると、腎臓に負担がかかって腎不全を発症するリスクが高まります。
これらは、見分けがつきにくいのですが、“痛みがないままダラダラ漏れる”“普段から尿が勢いよく出にくい”といった場合は、『溢流性尿失禁』を疑ったほうがいい。心当たりがあれば、泌尿器科を受診して検査をしましょう」
相談しにくい問題だが、対策は早めにとっておきたい。
※週刊ポスト2018年11月30日号