高齢化に伴う認知症発症は当たり前のことになりつつある。でも、親の介護を担う子世代は仕事や子育てに忙しく、更年期の不調と闘っていたりもする。頭では理解していても、親の言動にストレスが募って爆発寸前…。
そこで、「傾聴」のすすめを説く心理学博士・臨床心理士原心理相談室長・原千恵子さんと、日本アンガーマネジメント協会アンガーマネジメントシニアファシリテーターの田辺有理子さんに、「傾聴」と「アンガーマネジメント」のテクを、実際によくある会話を例に伝授してもらいました。
◆いきなり怒りだした! 一方的に怒鳴りまくる
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「ちょっと話そう。お茶でも入れるよ」
田辺さん:疾患による興奮・激昂の場合は別ですが、まず「気持ちを聞くよ」ということを伝えましょう。こちらの言葉を聞く余裕がありそうなら、「こっちへ来て座ろう」と姿勢や居場所を変え、体を動かすことで落ち着くこともあります。周囲の安全を確認した上で、ひとまずその場を離れることも賢明です。
◆急いでいるのにモタモタする
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「ごめんね、遅れると私が怒られるの」
原さん:高齢者を急かすのがよくないことは、よく知られています。それでも急ぐ必要に迫られたときは「私が困っているので助けて!」と窮地に共感してもらうのも手。高齢者は役割を得たり、頼られたりするととても前向きになるのです。時には上手な演技も愛情です。お互いに気分よく過ごすことを最優先に。
◆親の服装、髪形、化粧などがだらしない
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「この服の方が素敵だよ」
「外出だからきれいにしよう」
原さん:認知機能が低下すると、季節に合わせた衣類を選べなかったり、身だしなみに無頓着になったりします。本人も薄々わかっていて自信がないので「ちゃんとして!」などと責められると傷つき、反発することも。前向きな提案とともに直してあげるのがおすすめ。
「もう冬だから…」など、さり気なく情報も添えて。
※女性セブン2018年11月29日・12月6日号