11月20日、久しぶりに『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)が放送された。殿と家来、腰元たちによるコントで知られているが、1986年から2001年まで、殿にツッコミを入れる側用人として田代まさしが出演、人気者だった。姿が消えたのは、度重なる逮捕と懲役によって元タレントとなったからだが、今回のバカ殿様放送より少し前、十年ぶりにバラエティ番組出演を果たしていた。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、田代がゲスト出演したスピードワゴン司会の『The NIGHT』(Abema TV)の挑戦と意義について考えた。
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2016年に開局したAbemaTV。生まれては消えていく同局の番組のなかで、開局当初から一定の人気を保っているのが『The NIGHT』だ。月曜日~土曜日の深夜1:00~3:00に配信されるトーク番組。曜日ごとにパーソナリティーが変わる形態、AbemaTV版『オールナイトニッポン』と例えていいだろう。自由な番組作りが魅力、トークが脱線しても面白かったらオーケー、と生放送の即興性が発揮される。
そんな『The NIGHT』、月曜日を担当するのがスピードワゴンの2人(井戸田潤、小沢一敬)。お笑い、裏社会、怖い話、エロ、少し危険なネタ扱うゲストを呼び番組を盛り上げる。しかし、10月30日に配信された『The NIGHT』は“少し”じゃなくて“かなり”だった。どれほどかといえば、生放送をやめて収録にするくらいにデンジャー。
そんな厳戒態勢のなかで組まれた特集が「1周回って知らないマーシー」。ゲストに田代まさし本人を招き、波乱万丈な半生を紐解いた。最近、覚せい剤のご意見番としてニュースでコメントする機会も多いマーシー。しかし、バラエティ番組への出演は10年ぶりとのこと。これがめちゃくちゃ面白かった、私的ギャラクシー賞をあげたいくらい。
1980年にドゥーワップグループ「シャネルズ」でデビュー、デビューシングル『ランナウェイ』が110万枚の大ヒット。その後、志村けんにお笑いセンスを見出されコメディアンとしても活躍。これが田代のすごくざっくりとした略歴。
歌手時代の記憶はないが、『志村けんのバカ殿様』に出演していたことは覚えている。バカ殿・志村にツッコむ側用人・田代。当時小学生だった僕は天才2人のやりとりが好きだった。過去のバラエティ番組を見返す環境は誰もが持っているハズ。見たことがない方は、往年の『志村けんのバカ殿様』をチェックして欲しい、超楽しいから。
事件前の田代は、評価が確立した人気者だった。現在のタレントで例えるならば、劇団ひとりクラスかなぁ……。司会力、トーク力、演技力と芸能人に求められる能力を全て持っていた。だから、今では本人曰く「日本一有名な元覚せい剤中毒者」。変な言い草になるが、一時代を築いたから“覚せい剤の象徴”になっちゃったマーシー。つまりタダ者ではない、尊敬できないがバカにもできない。
山といえば川!
田代といえば覚せい剤!
いや、田代といえば盗撮!
2000年、田代は駅構内で女性を盗撮したとして書類送検された。全てはここからはじまり、はじまり。覚せい剤を常用しおかしくなった結果、盗撮に至ったと考えている人は多い。僕もそうだった。しかし、本人曰く順番は逆。