元外務省主任分析官の佐藤優氏は『ゴルゴ13』を“ビジネス書”としても読んでいるという。作者さいとう・たかを氏と佐藤氏が、「ゴルゴ(通称G)のインテリジェンス」を読み解く短期集中連載。第4回は、仕事で成功するためにいちばん大切なことについて語る。
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佐藤:『ゴルゴ13』は官僚や政治家、経営者にも読まれています。
さいとう:それは嬉しいね。麻生太郎さんだけじゃなかった(笑)。
佐藤:なぜ読まれているかというと、ひとつは情報を得るためです。その時の世界情勢が見事にまとめられていますから。もうひとつは、自分の知っている世界がどう描かれるのか知りたいということでしょうね。外務官僚はよく、政治家へのブリーフィングに『ゴルゴ13』を使っていました。政治家のすべてが、理解力が高いわけではありませんので、うまく説明できないと伝わりません。そこで、「ゴルゴのこの回でもこう描かれているのですが……」と話の枕で振ると、食いついてくれる。きっと政治家にアンケートを採ったら、『ゴルゴ13』を読んでいない人は、1%未満だと思いますよ。
さいとう:エラいことになってもうたなあ。
佐藤:個人的に『ゴルゴ13』を愛読しているのは、この作品がある意味、「仕事論」としても面白いからです。もしビジネスパーソンが、『ゴルゴ13』をビジネス書のひとつだと思って目を通したら、非常に多くのことを得るでしょう。
さいとう:そこはあまり意識してなかったけど、ゴルゴ自身が一流の仕事人であることは間違いない。私から見ても「仕事ができるやつだなあ」と。なにせ休まない(笑)。50年間、第一線で依頼に応え続けている。