『戦闘車』(Amazonプライム・ビデオ)シーズン2のテレビCMが盛んに流れ始めたとき、ネット上では冷ややかな反応が少なくなかった。というのも、昨年配信されたシーズン1で、多くの視聴者の高まっていた期待を裏切ったからだ。その裏切られた気持ちを味わった一人でもある、イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、良い意味で期待を裏切られた『戦闘車』シーズン2とシーズン1の違いについて考えた。
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昨年10月、Amazonプライム・ビデオで『戦闘車』が配信された。メインはダウンタウン・浜田雅功と千原兄弟・千原ジュニア。車好きで知られる芸能人たちが自らハンドルを握り、各々の“戦闘車”でカーバトル。芸人、レーサー、ミュージシャン、アイドル、俳優からなる戦闘員が浜田軍、ジュニア軍に分かれ、車のどつきあいが繰り広げられた。
『戦闘車』は、事前CMがとにかく魅力的だったと記憶している。車と車が接触し、横転、そして爆発。民放のバラエティでは見られない迫力ある絵面。僕は番組に大きな期待を抱き、配信日を指折り数えた。当日、「待ってました!」とワクワク感満載で鑑賞。そして、数分も経たないうちに胸の高まりはシャットダウン。
なんだかつまらない。当初はそんなぼんやりとした感想だったが、後日ふと気づく。『戦闘車』を並以下の番組にさせた2つの雑味に……。
【1】意味が分からない戦国時代のような舞台設定。幕間、武将姿の2人による下記の寸劇が挿入される。
千原「この城は何人たりとも崩せまい!」
浜田「その城、落としに行くぞ!」
【2】車の情報がうるさい。
「ジュニア軍が使用するのはメルセデス・ベンツ S320。Sクラスはベンツのフラッシグモデルで誰もが憧れる最高のラグジュアリーカー」
試合のたびに何度も聞かされる車の情報。「そんな知りたかったら『ベストカー』読むわ!」と叫びたくなった。
高い制作費と“戦闘する車”という面白いコンセプト。優れた素材をそのまま画面に提示してくれたら満足する。コチラは車と車によるどつきあいがただ見たいだけ。しかし、加えられた雑味によって番組はスリップ。テンポの悪い編集も相まって、イマイチ冴えない自動車バトルバラエティに仕上がっていた。
2017年に見たなかで、『戦闘車』は最も期待を裏切られた作品となった。
あれから1年……、迷作『戦闘車』のことなどすっかり忘れていた10月。Amazonプライム・ビデオを見ていると『戦闘車2』のCMが流れてきて驚く。申し訳ないが「シーズン2はナシ」と勝手に決めつけていた。車が接触し、横転、そして爆発するCM。期待感を煽るところは相変わらず。
前作は週1ペースで配信されたが、今作は11月9日に一挙配信とのこと。「学ばないなぁ」と自嘲しつつ、僕は11月9日0時を迎えた瞬間、第1話の再生ボタンを押していた。
そこから1~5話、さらにメイキングまでも視聴。飽きることはない、イラつくポイントも皆無、もう夢中で見てしまった、3時間半連続で。『戦闘車2』は『戦闘車1』と比べて、格段にブラッシュアップされていた。