ライフ

1日20回電話する認知症母、夫の注意で数日おきのハガキへ

弱いように見えて意外に図太い!?(写真/アフロ)

 弱者になった親とのストレスフルな関係は忙しい子世代を悩ませ、介護をいっそうつらいものに…。

 依存的な母親の介護に苦戦する40代女性である“瞬間湯沸かし器”ことミホさんと、“すぐに凹む”リョウコさん2人が、この苦境を乗り切るべく、「傾聴」カウンセリングで多くの苦悩を救う臨床心理士・原千恵子さんと本音トーク。

ミホ:母は昔から親として頼りにならない。尊敬できないし、正直言って嫌いです。11年前に転倒がきっかけで要介護になり、父と離婚していたためひとりっ子の私がすべて背負うことになりました。

 もともと私も、すぐカッとなる性格だけど、母が年々卑屈になり「ごめんね、苦労をかけて」と口では言いつつ何も努力をしない姿に、もう顔を見るだけで腹が立ちます。最近は長年お世話になった老健で暴言を吐き続けて退去要請が出て、役所や施設を奔走してやっとサ高住入居までこぎつけたのに、「老健を追い出される」と連発。認知症とはいえ、私を怒らせる言葉を吐き続け、怒鳴り返すと、自己嫌悪になるのもつらい。

リョウコ:私は、支配的な母に翻弄されて育ちました。私の母も依存体質です。10年前に父が亡くなると、私や親戚に「寂しい」と電話やメールをしまくり、みんなから疎まれて、睡眠剤依存にもなりました。

 認知症が出てからは独身の弟が実家に戻って面倒を見ていたのですが、症状が進み、ケアハウスへ入所させました。母とは同居しないつもりですが、施設へ入れたことへの罪悪感に苛まれてもいます。とはいえ、今は私に1日に電話は20回以上、メールは携帯電話の登録限界まで送ってきます。お決まりのセリフは「あなたもひとりになれば私の寂しさがわかるわよ」。

 母も気に入っている私の夫から注意してもらうと、今度は数日おきにはがきを送ってくるようになりました。執念が恐ろしくて落ち込みます。

原:お2人ともやさしい。そして弱すぎる。思い切り呪いをかけられちゃってますね。お母様たちの言葉はそのまま受け取らない方がいい。気を引きたいの。子供の嫌がらせみたいなものです。

リョウコ:そう言えば、母はやたらにプレゼントを贈っています。かまってもらおうと、あらゆる手段を講じている。

原:したたかですよ、高齢者は。ちゃんと計算している。案外、図太くて強いのです。

ミホ:それならなぜ、子供に頼るのかしら? 

原:70代はまだまだエネルギーがある。でも、社会では役割がない。だからわが子に関心が行くのでしょうね。

ミホ:すごく迷惑(笑い)。

原:でも子供たちは、どこかで老いた親がかわいそうで放っておけない。つい寄って行って巻き込まれる。お2人は巻き込まれすぎですが、親思いなのよ。見捨てないでちゃんと苦悩している。その思いやりにお母様たちはすごい勢いでしがみついてきているわけ。エネルギーを違う方向に向けさせましょう。そのためには冷静な判断と分析、行動が大切です。

※女性セブン2018年11月29日・12月6日号

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン