私たち日本の消費者は、どう食べ物を選ぶべきか。まず必要なのは、「国産なら大丈夫」という思い込みを捨てて、正面から現実に向き合うことだ。『食の安全を考える会』代表の野本健司さんはこう語る。
「世界と比べて日本の食品の安全度は決して高くありません。冷蔵庫がなく、食品の保存が難しかったゆえに添加物を使用せざるを得なかった昭和30年代のガイドラインをいまだに適用している食品もあるほどです。
まずは消費者がその現実を直視し、自分の頭で考えてリスクの少ない食品を選択することが重要。そうすれば、業界の変化を促せます」(野本さん、以下「」内同)
「着色料」や「保存料」「防カビ剤」などは食品表示ラベルに記載されていたり、メーカーのホームページに使用の有無が掲載されていたりする。購入する際には必ずチェックしたい。
厄介なのは、表示義務も問い合わせ先もない「漂白剤」や「除草剤」「肥育ホルモン剤」などだ。
食品の輸入事情に詳しい東京大学大学院国際環境経済学教授の鈴木宜弘さんはこう言う。
「それらが含まれるのは基本的に輸入品です。特に防カビ剤は、国産であれば輸送距離が短いため使う必要がありません」
値段の面では外国産が魅力的なことも多いが、鈴木さんは「安いものは、実は高い」と指摘する。
「安い食品は防カビ剤や肥育ホルモン剤、除草剤などが大量に残留します。そんな高リスクな食品を食べ続けると、病気になりやすいので医療費などがかさみ、結局は高くつく。だから多少値段が高くても、安全なものを供給してくれる人たちから購入することが大切です」
鈴木さんは消費者と生産者が「顔の見える関係」になることが最も大切だと続ける。
「消費者と生産者がお互いに結びつき、ネットワークを形成することが大事です。今の生産者は自由化の波で輸入品に押され、廃業に追い込まれることも多い。そのなかで歯を食いしばり、安全で魅力的な食品を作っている人たちを大切にしなければ、良心的な生産者がいなくなります。すると、ごく一部のお金持ちだけが超高価で安全な食品を食べることができ、一般庶民は危険な輸入品しか食べられない世の中になってしまう。そうしたリスクを避けるためにも、消費者と生産者がお互いに顔の見える関係を築き、支え合うことが必要です」
まずは今日の食卓から。“何を食べればいいか”を意識してみよう。
※女性セブン2018年11月29日・12月6日号