自動車業界のニュースは、日産自動車のカルロース・ゴーン元会長の逮捕一色になってしまっているが、毎年、年末は日本を代表する“今年のクルマ”を決める「カー・オブ・ザ・イヤー」が華々しく発表される季節だ。果たして、今年のベストカーは何か──。佃モビリティ総研代表の佃義夫氏がレポートする。
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カーオブザイヤーは、その年の1年間で国内市場に投入された新型乗用車の中からベストカーが選ばれるのだが、今年は日本自動車研究者・ジャーナリスト会議(RJC)が三菱自動車の「エクリプス クロス」、日本自動車殿堂がマツダの「CX-8」をカーオブザイヤーに選んだ。これに12月上旬にCOTY(カー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン=コティ)が最終選考を行うことになっている。
日本のカーオブザイヤーは、現状でCOTYとRJCに日本自動車殿堂の3つの主催がそれぞれのベストカーを選んで発表している。つまり、3つの主催者によるカーオブザイヤーがあるということだ。かつては、自動車雑誌がそれぞれカーオブザイヤーを選んで“カーオブザイヤー氾濫”と言われた時代もあったが、いろいろな経緯を経て現在の流れに至っている。
その中で、COTYは前年の11月からその年の10月までに国内発売された全ての乗用車の中から年間を通じて最も優秀なクルマを選ぶこととし、国産・輸入車一体でベストカーを選ぶ方式にした。これに対し、RJCと日本自動車殿堂は、カーオブザイヤーは国産車(日本車)から選んで輸入車をインポートカーオブザイヤーとして別に選ぶ方式をとっている。
RJCは、11月13日に最終選考会を行い、2019年次RJCカーオブザイヤーに三菱「エクリプス クロス」を、日本自動車殿堂は、15日に2018~2019カーオブザイヤー賞の表彰式でマツダ「CX-8」を表彰した。
RJCが三菱エクリプス クロスを選んだ理由は、
「スタイリッシュなクーペスタイルのコンパクトSUVとして、その流麗なフォルムが高く評価されたことに加え、三菱自特有の電子制御4輪駆動技術『S-AWC』により高い走破性と操縦安定性を確保したこと。また、新開発1.5L直噴ターボエンジン+スポーツモード付CVTは、中低速トルクを向上することで、活発な走行性能を実現したこと」
とする。一方、日本自動車殿堂がマツダCX-8を選んだ理由は、次の通りだ。
「スタイリッシュな3列シートSUV、卓越した運転性能と効率的な室内空間を備え、運転負荷の軽減と先進の予防安全技術が搭載されていることが評価された」
三菱自のエクリプス クロスと、マツダのCX-8。ともにSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)と呼ばれる多目的乗用車である。エクリプス クロスは、三菱自が4年ぶりに国内投入した新型車であり、三菱自の世界戦略車の位置づけであること。CX-8は、マツダが追求する内燃機関の進化のスカイアクティブガソリンエンジンとディーゼルエンジンを搭載して、3列シートSUVという多人数乗用車の新たな提案をしたことである。