「オー、シー」。宮中祭祀をつかさどる掌典の一声が静寂に響き、場が戒められると、楽師による神楽歌の演奏が始まる。ゆっくりと歩みを進めるのは、入浴による斎戒を済ませ、純白の祭服に身を包まれた天皇陛下だ。
11月23日夕刻、平成最後の「新嘗祭」(にいなめさい)が始まった。足元を小さな炎で照らされながら、陛下は神嘉殿に到着された。白い帳の中で、神々と対座された陛下は、古来の作法に則り、神とともに神饌(新穀で作ったご飯)と神酒を召し上がる。
古代から現代に至るまで、皇室の最も重要な祭儀とされる新嘗祭。その様子を、かがり火が焚かれた前庭に並ぶ天皇家の男性親族や、総理大臣をはじめ三権の長など、限られた参列者が見守る。
今年はその中に、高円宮家の三女・絢子さんと結婚した守谷慧さんの姿があった。つい先日、天皇家と親族になった守谷さんに、今年から参列の資格が与えられたのだ。
秋篠宮家の長女・眞子さま(27才)との結婚が延期されている小室圭さん(27才)も、もし婚姻が成立すれば、この“神代”(かみよ)から続く祭儀に参列することになる。
「小室さんは今上天皇の孫である眞子さまの夫として、宮内庁長官や守谷さんよりも上席で、国家の重要行事に参列することになります。国民の感情は果たして、それを受け入れられるでしょうか」(皇室ジャーナリスト)
眞子さまの結婚問題は、今もなおくすぶり続け、解決の目処がたっていない。そうした状況で、秋篠宮さまは11月30日、53才の誕生日を迎えられ、紀子さまとともに会見に臨まれる。
会見に際し、宮内記者会からは5つの質問が提出された。そのうちの1つが、眞子さまの結婚問題に関するものだった。
「秋篠宮ご夫妻にとっては語りづらい話題です。しかし、記者会としては、『国民の関心が高いこのテーマに触れないと存在意義にもかかわる』と、質問を決めたそうです。ご夫妻は、国民がこの問題にどのような印象を抱いているのか、かなり気にされていて、報道にもつぶさに目を通されているようです。国民の関心の高さから考えて、会見の場で、“その質問に答えないことはありえない”と判断されたのでしょう」(皇室記者)
そうして誕生日会見は、秋篠宮ご夫妻の口から直接、国民に向けて「長女の結婚問題」が語られる初めての機会になった。
それまで知られていた秋篠宮さまのスタンスは、8月上旬に報じられたような「皇族として国民から広く祝福される状態になく、現状では納采(婚約)の儀は執り行えない」というものだった。
しかし、会見の中で、ご夫妻の口からはもっと踏み込んだ発言があるのではないかと見る向きがあった。すなわち、眞子さまの胸中や、婚約内定の「取り消し」や「破談」といった言葉が語られる可能性が指摘されていたのだ。