「外国人犯罪は近年、ほぼ横ばい状態」「外国人観光客は急増したが、短期滞在者の総検挙人員はそれほど増えていない」──警察は、日本に外国人が激増する中でも、彼らによる犯罪は増えていないとアピールしている。しかし、その内実は全く異なるようだ。元兵庫県警通訳捜査官で関西司法通訳養成所代表の清水真氏がリポートする。
* * *
警察庁の統計によると、外国人犯罪の検挙人員は2004年をピークに減少し、2011年あたりからほぼ横ばいとなっている。しかし、私はこのデータをまったく信用していない。なぜならこの統計は、あくまで「警察が検挙した外国人犯罪」を表しているだけで、「日本で発生した外国人犯罪」そのものではないからだ。さらに、犯罪の内容も申告になりつつある。
外国人犯罪の多くは「首領なき犯罪」と言われており、指示役が検挙されることはほとんどない。指示役は海外におり、SNSなどを利用し、万引きでも海外から指示を出しているのである。たとえ実行犯を検挙しても、指示役の検挙のために海外の警察へ捜査協力を打診することはほとんどないのが実情である。
増加傾向にあるベトナム人らによる集団万引きでは、盗品を別の場所へ郵送し、さらに飛行機を利用して海外で転売するというケースがあった。
実行犯は、技能実習生や留学生などの正規滞在者が多い。彼らはたとえ万引きで逮捕されても、制度上、直ちに在留資格が剥奪されることはない。そのため、SNSを通じてアルバイト感覚で犯罪に加わる者が増加している。