芸能

佐々木蔵之介の『黄昏流星群』 中年のときめき爆発に違和感

中年の複雑な恋愛模様を描くはずが…

 興味を持ってチャンネルを合わせたはずのドラマに対して“違和感”を抱いてしまった経験は誰しもあるだろう。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析する。

 * * *
 中年にさしかかった人生の悲哀と偶然の出会いを描き出すドラマ『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(フジテレビ系木曜午後10時)。原作は同名の弘兼憲史マンガ作品(小学館)の第1集「不惑の星」です。

 漫画の方は1995年から現在まで続き広い世代に愛読されている人気作。しかし、ドラマを見ていると、どことなく漂ってくる不思議な違和感。チグハグな感じが気になって仕方がないのですが、それはいったい何処から発しているのでしょうか?

 主人公は、エリートサラリーマンの滝沢完治(佐々木蔵之介)。成功への道を邁進し仕事一筋、部下の女性からの色っぽいモーションにも「キャリアに傷が付く」と拒絶し銀行の支店長まで上り詰めた。専業主婦の真璃子(中山美穂)はそんな夫を献身的に支えてきた。ところがある日、完治は予想外の左遷宣告を受け、子会社の倉庫へ出向に。受け入れ難い試練に直面して……。

 プライドの高いエリート中年サラリーマンの挫折物語です。銀行の支店長が子会社へ出向、の悲哀は大きい。人生の全てかけて獲得してきた成果が一瞬にして崩壊していくのですから、喪失感、強い挫折感に包まれるはず。

 ところが。スイス旅行へ出かけて偶然出会った目黒栞(黒木瞳)に一目惚れ。その栞が、何と出向先の倉庫会社の食堂で働いていることを知って嬉々とし、ときめきを爆発させる完治。

 そう、完治役の佐々木蔵之介さんが枯れていない。栞演じる黒木瞳さんをイキイキと追いかけていく。その姿がどこか楽しげ。中年の舞い上がりぶりを見せつけられるようで、視聴者はとまどう。

「たそがれ」は何処に行った?

 まあドラマですからストーリーは単純でもいいのですが、行間から染み出てくるようなわりきれなさ、仕事に生きることができなくなったエリートサラリーマンのわびしさ、葛藤といったものが十分に見えてこない中、「偶然の恋愛」がトントン拍子で展開していくあたりに肩すかし感が。

関連記事

トピックス

SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン