日本の帯ドラマの基礎を固めたといわれるドラマ『バス通り裏』で女優デビューを飾り、今年で60年。十朱幸代(76才)がその人生を振り返り記した自伝『愛し続ける私』(集英社)が話題になっている。華やかな世界で活躍し続ける彼女の素顔に迫る。
17才の少女・十朱の初恋は、7才上の歌手で、映画でも活躍するスター・小坂一也だった。
「映画で共演して、一緒にいる時間が増えたんです。みんなが私を子供扱いする中、レディーとして扱ってくれたのが彼でした。すごく嬉しかった。当時は連絡をとるのはもっぱら手紙。ラブレターをせっせと書いたわ(笑い)」(十朱・以下同)
つきあいだしてすぐにプロポーズされ、彼女が20才で建てた家には彼の部屋も用意された。交際を公表していたこともあり、芸能マスコミは2人を「ついに結婚か」と書き立てた。
「こんなに書かれるんなら、籍は入れないまでも“結婚した”と発表しようと決めて、寿ムードで盛り上げていただいたのが、31才の時でした」
ところが、それから1年もしないうちに突然の別れを迎え、今なら流行語大賞になったであろう「永すぎた春」という言葉がついて回った。
「彼から突然、別れると言われたんです。“好きな人ができたんだ”って。出会ってから15年間ずっと楽しく過ごして、もう空気のような、一緒にいるのが当たり前の存在になっていたのに…。私は悲しみと怒りで、泣いて泣いてまぶたが腫れてしまって、氷で冷やしてもひかないの。これでは映像にも残ってしまうし、仕事で迷惑をかけると思って、ある時からもう泣かないと決めたんです」
それからも恋はした。不倫もあったし、結婚寸前までいった恋もある。
「すべてがいい恋でした。でも、その都度“私の仕事はまだまだ発展途上。今、やめるわけにはいかない”と思って仕事をとってきたんです」
どの恋も一途だったことを今も誇りにしている。だから「これからも恋はしてもいいかな」。
※女性セブン2018年12月13日号