中学生でモデルデビュー。恋多き女といわれ、死亡説まで飛び出した大手術を乗り越えて、今なお第一線で活躍を続ける、女優・十朱幸代がその人生を振り返り記した自伝『愛し続ける私』(集英社刊)が話題になっている。そんな彼女に「ひとり」についての考え方について聞いた。
「ひとりは強いわよ」(十朱・以下同)
笑いながら、言葉に力を込める。その暮らしに寄り添うのは愛犬「きらら」だ。きららのためにもあと10年は元気でいなくちゃと思っている。また、高校時代からの友人との交流が今は何よりの楽しみだという。
「私たちの世代になると、子供が独立したり、離婚や死別でひとりになる人も多いのよ。そんな仲間が4~5人集まっては、旅行したりおしゃべりしたり。そんな時いつも言うの。“ひとりの暮らし方なら任せておいて”って(笑い)」
ひとりで強く生きるためには食事が基本だと考えている。1日2食だが、朝をしっかり食べる。卵、ナッツ類、くだもの、乳製品などをたっぷり。はちみつも欠かさない。夜は野菜と海藻をふんだんに取り入れた和食。
肉と魚は交互に摂る。若い頃は酒豪でならしたが、今は飲む回数も量も減った。
「私はもともと太りやすい体質なんです。若い頃、映像を見て“このお尻は誰の?”と思ったら、私のお尻でショックを受けたことも(笑い)。もしも女優をやっていなかったら、コロコロになっていたと思うんです。若い頃は70才になったらもう太ってもいい、好きな物を好きなだけ食べようと思っていたけど、体重が増えれば足に負担がかかるので、やっぱりほどほどのダイエットとジム通いはやめられませんね」
ガーデニングはひとり暮らしに文字通り花を添える。楽屋見舞いにもらう花々を捨てるに忍びなく、育てているうちに庭の手入れが欠かせなくなった。
特に自慢なのは白とピンクのつるバラ。花の手入れをする手指を「いやあん、手が大きくて恥ずかしいの」とひっこめる。だが、この手で確実に女優の道をこじ開け、運をつかんできたのだ。
「ひとりは孤独だけど、自由。この自由は何ものにも代えられないわ」
ただきれいなだけではない、若々しいだけでもない。仕事も生き方もきちんとしてきたチャーミングな人。それがありのままの十朱幸代だった。
※女性セブン2018年12月13日号