2018年3月、東京都目黒区で5歳の女の子が虐待の末に死亡した事件では、女の子が両親に許しを求めるメモを残していたことが判明。怒りと悲しみの声が渦巻いた。虐待と無縁な人生を送る者は、“虐待”というとついつい暴力ばかりを想像しがちだが、暴言も虐待行為。我が子に暴言を繰り返した妻に離婚を求めたところ、逆に妻から慰謝料を請求された場合、夫は払う必要はあるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
再婚した妻との離婚を決意。原因は8歳の息子が落ち込んだ、妻の言葉の暴力です。妻は私が不在のときに言葉でのDVを繰り返していたようで、隠したレコーダーからも証明されました。しかし、妻が「私は初婚、それを考慮した慰謝料を払って」と逆ギレ。この場合、慰謝料ナシでもかまいませんよね。
【回答】
離婚時に支払う慰謝料にはまず、婚姻関係継続中に配偶者から暴力や暴言などの虐待を受けたり、名誉毀損されたりした個々の不法行為で離婚に至った場合、その個々の不法行為によって被った精神的苦痛に対するものがあります。あなたには、このような不法行為がないようなので心配は無用です。
他に離婚そのものによる慰謝料が問題になる場合があります。すなわち、こうした個々の不法行為がなくても、「離婚の場合における慰謝料請求権は、相手方の有責不法な行為によって離婚するに止むなきに至ったことにつき、相手方に対して損害賠償を請求することを目的」として認められるのです。