12月5日、フジテレビ『FNS歌謡祭』の裏で、ある大型歌番組が放送されていた。五木ひろしが司会を務めるBS朝日『日本の名曲 人生、歌がある 生放送!5時間スペシャル』だ。レギュラー番組は毎週水曜放送という日程もあって、2013年の番組開始以降、毎年『FNS歌謡祭』と対決する形になっている。
『人生、歌がある』の構成担当は、元フジテレビの疋田拓氏。1970年代、80年代の歌謡曲黄金時代に『夜のヒットスタジオ』でプロデューサーを務めた敏腕テレビマンだ。その繋がりからか、五木ひろしを軸に今回も千昌夫、細川たかし、鳥羽一郎、藤あや子など演歌勢を中心に大物歌手が続々と登場した。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)の中で、『夜のヒットスタジオ』や『ザ・ベストテン』などの歌番組にも詳細に言及している芸能研究家の岡野誠氏が話す。
「FNS歌謡祭と同じくらい、メンバーも構成も豪華でした。番組序盤の『昭和のスーパーヒットメドレー』では坂本冬美、伍代夏子、藤あや子がキャンディーズの『春一番』、長山洋子と神野美伽が中森明菜の『少女A』、田原俊彦などが郷ひろみの『2億4千万の瞳』を歌うなど、それぞれの持ち味を生かした人選でした」
思い返せば、他人の持ち歌を歌う形式は『夜ヒット』のオープニングメドレーと同じだ。番組恒例の『トリビュートタイム』では、今年逝去した西城秀樹さんを特集。山内惠介が『情熱の嵐』、角川博と鳥羽一郎が『ギャランドゥ』、田原俊彦は後ろに映る西城さんの写真を見て「ヒデキさ~ん!」と呼び掛け、『薔薇の鎖』を熱唱。最後は五木ひろしを中心に全員で『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』を歌い、西城さんの歌が全部で10曲披露された。