台湾の李登輝元総統が11月29日、台北市内の自宅でバランスを崩し転倒、頭を床にぶつけ動けなくなり、家族が救急車を呼び、台北栄民総医院(=病院)に搬送された。
病院側は、神経外科の集中治療室(ICU)に李氏を緊急入院させて、さまざまな検査を行った。その結果、李氏が95歳という高齢であることや複数の慢性疾患を抱えていることを考慮し、「入院は長期化する」ことが明らかになった。台湾メディアが報じた。
同病院の游君耀・公共事務室主任が記者会見したところでは、李氏の血圧、心拍は共に安定、意識もはっきりしており、会話できる状態だという。しかし、検査の結果、脳に少量ながら出血が見つかるなどしたことから、游氏は「病院としては状態が完全に回復するまで待ってから退院を許可したい」との考えを示した。
李氏はここ数年、ほぼ毎年のように、体調不良などを訴え緊急入院している。とくに、頸部の「椎骨動脈の閉塞」や心臓病、あるいは糖尿病、胸部疾患などの症状もあり、何回か手術を受けている。今回も同様の症状で、再び手術が必要ならば、入院が長期化する可能性も否定できないという。
李氏は今年1月15日に95歳の誕生日を迎えた。その後、今年6月には沖縄県を訪問。糸満市のホテルで講演し、「日中間における尖閣諸島や南シナ海の問題など、絶えず周辺国家との緊張状態を作り出し、潜在的な軍事衝突の可能性を生み出している」として中国の強硬な海洋進出を批判した。李氏がここまで踏み込んで、中国の覇権的な動きを日本での講演で指摘したのは異例だ。