いつも見かける野良猫が、雨の日になると姿を消す──そんな経験はありませんか? それもそのはず。実は、猫は濡れるのが大嫌い。それには本能的な理由があるようで…。猫が水嫌いの理由とシャンプーのやり方について紹介します。
猫の睡眠時間は、1日約12~16時間。普段から半日以上を寝て過ごしている猫だが、特に雨の日は、いつも以上に長時間寝ている場合が多い。
その理由として、猫は基本的に被毛(動物の体をおおう毛のこと)や皮膚が水に濡れるのが嫌いなため、雨の日は濡れない場所でおとなしくし体力を温存しているのではと、猫の専門病院Tokyo Cat Specialistsの獣医師・有田早苗さんは話す。
「猫が水を嫌がる理由は、猫の祖先に関係があります。私たちが今、一般的に目にする猫の祖先は、アフリカの砂漠に生息するリビアヤマネコなんです」(有田さん・以下同)
猫の被毛は、脂分が少なく、一度濡れると乾きにくい。リビアヤマネコが生息する地域は、昼夜の寒暖差が激しく、体が濡れたままの状態で夜を迎えると、水分が蒸発する際の気化熱で体温が奪われ、命が危険にさらされるのだ。
「リビアヤマネコにとって、水に濡れる=命を脅かす行為。その記憶が現代の猫たちにも受け継がれ、本能的に水を避けているのかもしれません」
◆シャンプーするならぬるま湯で。ただし、顔までシャンプーの必要はなし
では、普段外で生活している野良猫は、どのように雨をしのいでいるのか。
基本的には、自分のテリトリー内にある家の軒下や駐車場の車の下などに身を潜めていることが多いそうだ。
「大人の猫は雨に濡れると体力が低下することをわかっているのでじっとしています。しかし、幼い猫はそれを知らないため、雨の中に飛び出してしまい、その結果、親猫とはぐれてしまうことも…。実際、雨の日に子猫を保護するケースが多いようです」
このように、猫は水が嫌いなため、飼い主はシャンプーに苦労することが多い。
そもそも、猫にシャンプーは必要ない。猫は自分の舌で体をなめて“グルーミング”をし、手入れをするからだ。
「とはいえ、高齢のため自分でグルーミングができなかったり、皮膚病を患っている場合、そして、毛玉ができてしまう長毛種は3~4か月に1度を目安に、シャンプーをしてあげた方がいいですね」
シャンプーをする際は、必ず猫用のシャンプーを使い、人肌程度のぬるま湯で洗うこと。その際、大きな洗い桶のようなものを用意し、湯をはって猫を中に入れ、かけ湯のようにして洗うと嫌がりにくいという。
「顔まわりは特に嫌がるため、シャンプーは使用せず、湯で流す程度でOK。そして乾かす際、ドライヤーの風や音を嫌うなら無理はせず、タオルでできる限り水分を拭き取ってから暖かい部屋で自然乾燥させましょう」
人間も雨の日は気分が憂鬱になるが、それはどうやら猫も同じよう。天候がよくない日は、愛猫と家でゴロゴロ過ごすのもいいかもしれない。
※女性セブン2018年12月20日号