2018年も多くの人が旅立った。なかでも、話題の連続ドラマが放送中のタイミングで、突然、亡くなった大杉漣さん(俳優、享年66)の訃報に驚かされた人は多かっただろう。
1974年、演出家・太田省吾が創設した転形劇場に所属。舞台俳優として活動する一方、『緊縛いけにえ』(1980年)で映画デビュー。北野武監督の『ソナチネ』(1993年)出演を皮切りに数多くの作品に出演、名バイプレーヤーとして不動の地位を築いた。
ドラマやナレーションなどにも活躍の場を広げていたが、2月21日、ドラマ撮影中に腹痛を訴え病院に搬送され、そのまま息を引き取った。大杉さん最後の主演映画『教誨師』監督の佐向大氏が、思い出を語る。
「決して偉ぶった態度をとらない人でした。映画『教誨師』の撮影では、俳優やスタッフ一人ひとりに声を掛け、冗談ばかり言って現場の一体感を作り上げていく。『こんな長い台詞覚えられないよ』と言いながらも、本番ではすさまじい集中力。知らず知らずのうちに、大杉さんが個々の力を引き出してくれていた。口ではなく、すべて行動で示す方でした」
■写真/大杉隼平
※週刊ポスト2018年12月21日号