認知症になったら、人として様々なことが制限され、いろいろとオシマイになる。それは思い込みに過ぎないのだと、若年性アルツハイマーの女性との対談を経て知った諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、認知症を受け止めて活かす社会について考えた。
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「ぼくのこと、覚えてる?」
「覚えているわよ」
そんな軽い認知症ジョークに、会場はドッと沸いた。
対談の相手は、若年性アルツハイマー型認知症の山田真由美さん。先月、開催された「介護の日イベント」(がんばらない介護生活を考える会主催)は、「人生を豊かにする日常の小さな挑戦とは?」と題して、認知症当事者からどんな挑戦の日々を生きているのか話を聞いた。
山田さんが、若年性アルツハイマー型認知症と診断されたのは、7年前の51歳のとき。当時、給食の調理員として働いていた。あるときから、食材の数を数えるなどの作業が難しくなった。本当はもっと働いていたいと思ったが、居づらくなって退職した。
しかし、この決断について、今なら違った考えをもっていると山田さんは言う。
「認知症であることをきちんと説明して、周りに応援を求めればよかった。ほんのちょっと周りが応援してくれたら、働き続けることができたと思う」
その後、家に閉じこもった山田さん。家の中は暗くなり、一緒に暮らしている娘さんを困惑させる日々が続いた。そんな山田さんが変わるきっかけとなったのは、ある出来事だった。