「地域の歴史を掘り起こしてオリジナルの紙芝居作りや、戦国の城ジオラマ展示、講演会、さらに図書館友の会と一緒に懐かしい昭和のまち映像上映会、マイルーツ探し講演会などは、多世代が集まり、毎回超満員。中でも多いのは70代以上の元気な高齢者。地域を知ろう、学ぼうというエネルギーはすごいです!」
そう話すのは、筑波大学を拠点にした『超高齢社会と図書館研究会』運営メンバーで、神奈川県横浜市の港北図書館館長・木下豊さんだ。
最近では、多くの図書館でされている大活字本コーナー設置されている。人気作家の作品などもそろっている。
「図書館には生活にかかわるすべての本がそろっています。また高齢のかたは若い頃に読んだ思い出深い本に出合うことでもワクワクが得られるようです」(木下さん)
高齢者が活用しやすい環境が整いつつあるようだ。
「公共図書館は地元の歴史資料が蓄積、保存されている上、近くに城や史跡があるところが多い。図書館の強みを生かした魅力あるイベントには多くの高齢者が集まり、地元への愛着と誇りが高まります」
昨年、発足した『超高齢社会と図書館研究会』は、図書館が高齢者や認知症の人にも利用されやすいように研究。木下さんは港北図書館での成功事例を持って全国にノウハウを伝える講演にも奔走中だ。
港北図書館の最近の大ヒットイベントは認知症講座。認知症に関する情報は来館者から好評。「認知症カフェをここで初めて知った、行ってみたいという声もありました」と木下さんは語る。
「認知症への関心の高さは肌身に感じます。当館では地域ケアプラザと連携し、認知症に関する本のコーナーを設け、認知症カフェ一覧などの情報展示にも力を入れています。それでも図書館は本の貸し出しだけと思っている人もまだ多いよう。でも地域の歴史資料、子育て支援から介護まで生活に密着した情報や講座があり、多世代交流もでき、いつでもふらりと来られる場所。活用すればこんなにおもしろい場所はありません。ぜひ利用してください!」
※女性セブン2018年12月20日号