ちょっとした体の異変が、実は重大な病気のサインかもしれない──。実は便秘が続いていた人が大腸がんと診断されることがある。便秘が他の病気と比べて怖いのは、“自分の力で治せる”と思ってしまいがちな点だ。たとえば薬局などでは市販の便秘薬も数多く売られているが、ここにも“落とし穴”がある。
「市販の便秘薬の大半は刺激性の下剤です。お腹がグルグル刺激されて、確かに便は出るようになる。しかし使い続けるうちに耐性ができていき、やがて効かなくなっていく。その間にもしかしたら重大な病気が進行しているかもしれない。そうなってから病院に行く人も多いのですが、治療は難しくなります」(しらはた胃腸肛門クリニック横浜院長の白畑敦氏)
日常生活で実行できる便秘対策としては「食物繊維の摂取」や「毎日の運動」がポピュラーだが、他にもできることがある。
「『排便の習慣』を作ることが大事です。食後は腸が刺激されて排便しやすくなるので、たとえ便意がなくても必ずトイレに行くことを心がける。朝食の後がベストです。
排便時の姿勢についても、『考える人』の像のように、やや前屈みになって、かかとを浮かすというポーズにすると、直腸と肛門の角度がストレートになって、便が出やすくなります(写真参照)。
とはいえ、器質性便秘(内視鏡などで確認できる病気や異常が原因となっている便秘)だったらこれらの対策も焼け石に水。一番の便秘対策は、少しでも気になったらすぐに病院に行くことです。まずは身近な胃腸科、消化器内科、肛門科などの医者や便秘外来で詳しく症状を説明して、重大な病気が潜んでいないかどうか検査してもらう。薬を飲むにしても、市販薬ではなく、病院で処方してもらったほうがいいと思います」(同前)
軽視していると命取りになる以上、“相談するのが恥ずかしい”という考え方はやめたほうがよさそうだ。
※週刊ポスト2018年12月21日号