「ザギトワが王位を失った。素晴らしい日本の女性が王位を奪い去っていった」
ライバル選手の地元・ロシアの現地紙が脱帽するほどの圧巻の演技だった。フィギュアスケートのGPファイナルで優勝した紀平梨花選手(16才)。シニアデビューでのGPファイナル制覇は2005年の浅田真央(28才)以来の快挙だ。
2018年の平昌五輪金メダリストのロシア代表、アリーナ・ザギトワ選手(16才)を上回り、宮原知子選手(20才)や坂本花織選手(18才)ら先輩を抑えての完勝。2022年北京五輪に向けた現在地を「10%ぐらい。まだまだなので」と言い、大きな成長の可能性を秘めている。
「紀平選手の最大の武器はプログラムに3回折り込んでいるトリプルアクセルですが、軽々と跳べるのは驚異の身体能力の持ち主だからです」(フィギュア関係者)
◆逆立ち歩き、片手で側転
体脂肪率は6%と男子アスリート並み。腹筋が割れ、50m走は7秒台という紀平。彼女が体を鍛え始めたのは、1才からだというから驚きだ。
「両親共に教育熱心で、お母さんは早期教育の大切さを知ると、娘をどの幼稚園に入れるかずいぶん調べたそうです。最終的に選んだのが、地元の兵庫県西宮市にある『ヨコミネ式』という教育法を実践する幼稚園でした」(近隣住民)
ヨコミネ式教育法とは、女子プロゴルファーの横峯さくら(33才)の伯父・横峯吉文氏が提唱する幼児教育法。北海道から沖縄まで全国約360の施設や学習塾に導入されている。そのモットーは「すべての子供が天才である」ことだという。
「子供のやる気を起こし、才能を開花させるために、『読み・書き・計算・体操・音楽』など幅広く指導。幼児期に足し算や引き算、九九に挑戦したり、大量の読書をすすめたりします。子供たちがけんかをしても、なるべく口は挟まない。自分たちで解決させ、正義感や道徳観といった心の成長を育むことを目指しているそうです」(教育関係者)
ヨコミネ式では、筋力や柔軟性を鍛えるために逆立ち歩きや片手での側転などを教えて運動神経を鍛える。紀平はその幼稚園でめきめきと身体能力を伸ばした。
「毎日幼稚園の園庭を2km走り、年長組の時には跳び箱9段をクリアしていました。家の前ではよく逆立ちで歩いてましたね。今思えば、あの体幹のよさが演技に生かされているんでしょうね」(前出・近隣住民)
数年前、「ヨコミネ式」がテレビで紹介されると大きな話題に。失敗を重ねて成長する経験を得るため、「少し難しそうに思えること」も挑戦させる。その難しさから、一部には「やりすぎだ」「ウチの子はもっと普通に育ってくれればいい」と否定的な声もあるが、紀平の場合、ヨコミネ式教育法が才能開花につながったのは確かだろう。
※女性セブン2019年1月1日号