12月23日に東京タワーが開業60周年を迎える。新刊『「さみしさ」の研究』が話題となっているビートたけし氏は、東京タワーと“意外な縁”があるのだという。「世界のキタノ」の記憶に今も刻まれている、東京タワーとの幼き日の思い出を聞いた。
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東京タワーが60周年だって? オイラが来年で72歳だから、中学に入る頃にオープンしたのかな。
知っての通り、オイラの父親の菊次郎はペンキ職人でさ。小学校の頃、東京タワーのてっぺんにペンキを塗ったと話してたんだよな。
父ちゃんは「スゲエだろ」と威張っていたけれど、実際は塗っていたというより、ペンキをぶっかけていただけみたいなもんだったらしいぜ(笑い)。タワーの上は風がすごくて、とんでもなく揺れるらしい。まァ、命綱はしてるだろうけど、ギャラも良かったらしいぜ。父ちゃんのことだから、結局飲んじまったんだと思うけどさ。
オイラ自身も、ガキの頃に東京タワーに上ったぜ。確か、兄貴たちが連れて行ってくれたんじゃないか。ただ覚えてるのは、景色や内装といったものよりも、黒山の人だかりだよ。タワーの下も、展望台も、とにかく人だらけでそれしか覚えちゃいない(笑い)。
東京タワーといえば、昭和の時代は今以上に憧れの的だったんだよ。1960年代はフジテレビで『タワーバラエティ』という演芸番組をやっててさ。東京タワー併設のサテライトスタジオからの放送で、子供の頃はよく観てたもんだよ。
あの何もなかった時代にこんな立派で後世に残る建造物を建てられたってのはスゴイ。当時のニッポン人のエネルギーを感じるね。
※週刊ポスト2018年12月21日号