臨床医学的には、1日に10回以上トイレに行くと“頻尿”と定義される。「頻度」と同様に気を付けて観察したいのが尿の「色」だ。
「肝硬変や肝がん、肝炎などになると濃い黄色の尿が続けて出るようになります。肝機能が低下すると、ビリルビンという色素が血液や尿中に出るため黄色くなるのです」(順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科の磯谷周治氏)
また、濃いピンク色の尿が1度でも出た時は要注意という。初期の膀胱がんでは膀胱内にできた腫瘍が粘膜を傷つけるなどして出血が起き、尿がピンク色になることがある。痛みはなく、翌日には通常の尿に戻ることが多いため、気にかけずに放置する人も多いという。
“尿の異常”の自覚がある人は、近くの泌尿器科を訪れるのがいいという。五本木クリニック(泌尿器科・内科)院長の桑満おさむ氏はこう語る。
「頻尿の問題は、重大疾病が原因となっている可能性があることだけではありません。頻尿に悩むと、渋滞にはまるかもしれない車などを使った遠出や数時間に及ぶ催しへの参加にも不安を感じ、外出そのものを控えてしまう人が少なくありません。
家にこもりがちな生活になると、他人とのコミュニケーションなど日常生活で刺激を受ける機会が減り、足腰の衰えなども加速させるため、結果的にQOL(生活の質)を低下させてしまう。また最近、高齢者に増えている鬱症状を誘発させる要因にもなり得ます」
人生100年時代の「長い老後」を充実して全うするために、「尿」は身近な“リスクバロメーター”になる。
※週刊ポスト2018年12月21日号