平成最後の年、おしどり夫婦として知られた大女優と名優は、闘病の末に亡くなったあとを追うように4か月違いでこの世を去った。
●朝丘雪路(女優、享年82)
1952年に宝塚歌劇団に入団、月組の娘役として活躍。1955年の退団後は女優や司会など活動の場を広げ、1968年から大橋巨泉のアシスタント役を務めた『11PM』(日本テレビ系)ではお色気たっぷりの軽妙なやり取りで絶大な人気に。
晩年はアルツハイマー型認知症を発症、2014年に長女で女優の真由子がプロデュースしたミュージカルに夫・津川雅彦さんとともに出演したのを最後に芸能活動を休止していた。4月27日に死去。
●津川雅彦(俳優、享年78)
祖父は映画監督・牧野省三、父は俳優・沢村国太郎で、兄の長門裕之も俳優という芸能一家に生まれ育つ。1956年に『狂った果実』で映画デビューし、一躍人気俳優に。『ミンボーの女』(1992年)など伊丹十三監督の作品に数多く出演する一方、自身もマキノ雅彦名義で映画監督を務める。
2013年に妻・朝丘雪路さんが闘病生活を始めると、献身的な介護を続けていた。妻の死を追うように、8月4日に他界した。
津川さんが東條英機を演じて第22回(1999年) 日本アカデミー賞・優秀主演男優賞を受賞した作品『プライド 運命の瞬間』の伊藤俊也監督が、撮影時の思い出を語った。
「津川さんは台本に加筆修正するという噂があったので、1998年公開の映画『プライド 運命の瞬間』での最初の顔合わせの日は喧嘩腰で臨みました。案の定、2時間半にわたって侃々諤々の議論になりましたが、終わった瞬間わかり合えたと感じました。もちろん台本の直しはありません。打ち上げでは京都祇園でお座敷遊びをして、総勢50人分をご馳走してくれました。仕事も遊びもトコトンやる人でした」
※週刊ポスト2018年12月21日号