暮れゆく年の瀬。都内在住の60代男性は、年賀状の束と向き合った。手書きだから心が通じる──だからパソコンは使わない。だがペンを手に取って宛先を書き始めると、どうにも様子がおかしい。
「7ケタの郵便番号を書こうとしたら、赤い枠からどうしてもはみ出してしまう。裏面に近況を書いていると、今度は文字の大きさがバラバラで、3行目くらいから斜めに傾いてしまう。みっともないので何枚も書き直すハメになりました」
二本松眼科病院の眼科医である平松類医師は「白内障の可能性がある」と指摘する。
「白内障の初期症状では、色のコントラストが弱いものが見えにくくなります。郵便番号欄の赤い枠は色が薄く、白内障を患っていると見えにくくなるため、数字が枠からはみ出してしまう。
また、文字がぼやけて見えるので、同じ大きさの文字を書いているつもりでも、大きさが揃わなくなることがあります」
このような“ちょっとした違和感”は、目が発するSOSだと平松医師は指摘する。
「視力の低下や“見え方”の変化、視野の減少などは単なる老化現象ではなく、『目の病気』の危険信号になっていることがあります」
※週刊ポスト2019年1月1・4日号