最近のドラマにおいては、作品のスタートから間もなくして評価が定まってしまうことが多い。その意味で異質だった作品が『中学聖日記』。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
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今週最終回を迎えた有村架純主演ドラマ『中学聖日記』(TBS系火曜日午後10時)。中学校教師・末永聖(有村架純)と中学生・黒岩晶(岡田健史)の恋物語としてスタート。振り返れば「荒れた船出」でした。
「中学校の教員と生徒の恋愛は犯罪にならないのか」と物議を醸して注目されたのですから。たしかに日々のニュース報道を見ていると淫行問題等を起こす教師がひきもきらない現実がある。ドラマの視聴者といえば、子を持つ母親たちも多い。つまり、「これはドラマです」と特別扱いしてもらえるのかどうかが、勝負の分れ目でした。
さて、その後の推移はどうなったか?
スタートから数回は視聴率と満足度も低調傾向でした。実際、第4話の視聴率は自己最低5.4%。ところが「3年後」に物語が移ると徐々に変化が見られ始める。教師・聖が別の学校へ移り、2人はいったん離ればなれ。晶は高校生になり2人は再会──と、関係性に変化が出てきたあたりから評価も関心も肯定的に転換していき第6話以降、視聴率は7%前後を維持。「純愛物語」と受け止められるようになっていったようです。
そしていよいよ11話・最終話の視聴率は自己最高の9.6%で幕を閉じました。
アンチの存在もあれば支持するファンもいた。けれど終わりにむけて支持が拡大したというのはアッパレです。難しい滑り出しをしたドラマが中盤に入って持ち直すというのはなかなか凄い。
ではいったい何が、このドラマの牽引役となったのでしょうか?
「10~20代の女性層ファンを惹きつけた」という指摘も目にしましたが、それだけが勝因ではないはず。たとえば母親層の視聴者は「息子がドラマから妙な影響受けるからやめて欲しい」と抵抗を感じていた人も多かったようですが、途中から黒岩晶を演じる「岡田健史ファンになりました」という声も複数耳にしました。
最終回、23歳という「大人の黒岩晶」がスーツ姿で登場した際、女性ファンから歓喜の悲鳴が上がっていました。