2018年の日本の陸上長距離界は、大迫傑がシカゴマラソンで2時間5分50秒の記録を出して日本記録を更新。12月2日に行われた福岡国際マラソンでは、服部勇馬が日本人選手14年ぶりの優勝を飾るなど、収穫が多い年だった。しかしその一方では、いくつものトラブルが起きた1年でもあった。
その1つが、女子マラソンで世界選手権に2度、出場した原裕美子氏(36)の万引き事件。12月3日の判決(懲役1年執行猶予4年)の前後のテレビや雑誌の取材では、厳しい体重制限により長年、摂食障害に苦しんできたことを告白した。改めて取材を申し込むと、殺到したインタビューへの疲れからか、「申し訳ありません。今は受けられない」との答えだった。
一方、長距離男子では、原晋・監督(51)率いる青学大の箱根5連覇に立ちはだかるライバルと目された東洋大で騒動が起きた。9月に退部した1年生部員が、上級生4人から暴言や暴力を受けたと訴え出たのだ。発覚後、東洋大は当該部員4人に厳重注意し、「再発防止に努める」とコメントを発表。一件落着と思われていたが──。
「加害者のうちの1人である主力選手の調子が上がらず、出雲でも全日本でもダメだった。内心気に病んでいるのでは」(東洋大関係者)と囁かれる。暴力など選手間の問題は、被害者にも加害者にも暗い影を落とす。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号