女性が、男性という“生物”を理解するのはそう簡単なことではない。たとえば、女性が父親を介護することとなった場合、男性の“気持ち”や“生態”を理解できず苦しむこともあるだろう。
そこで、男性更年期など男性に特化した日本初の「メンズヘルス外来」を立ち上げ、日本の泌尿器科を牽引する、順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学教授である堀江重郎さんに、男性がどんな“生物”なのかを教えてもらった。
「外に行って獲物を捕ってくるのが男のジェンダー。これを担うのが男性ホルモンです」と、堀江さん。男性ホルモンは生殖機能をはじめ、筋肉を増強し、認知力や意欲を高める働きがある。
「獲物を追い、自分を認めてもらい、獲物を仲間に与えることで男性ホルモンは活性化します。狩りは、今の社会でいえば“仕事”ですね。
引退後、狩り(仕事)をしなくなると男性ホルモンの分泌は減少。すると、意欲と筋力が低下し、いつも家にいる。家族に『お父さん夕飯は何にする?』『何か趣味でも持ったら?』と言われても、アイディアは浮かばない。何しろ意欲と筋力がないのです。
そして自分の楽しみを持つ妻がウキウキ出かけようとすると、『お前、どこへ行くんだ!』と不機嫌にあたる。これが典型的な高齢男性の姿かもしれません」
もう1つ注目すべきは、男は狩りから帰還する“場所”が必要だということだ。
「会社なら自分のデスク、家なら書斎や“お父さんの席”。私の執務室にも“堀江教授室”とプレートが貼ってありますが、これが権威付けとやる気を誘発している(笑い)。
行きつけのスナックなども大事。定席で『ママ、いつもの』と言って、それが出てくるのは、自分の存在が認められている証。男性には極めて重要なのです」
※女性セブン2019年1月3・10日号