折り紙のようにカラフルなこのシート、実はかまぼこでできている。この商品は、富山県のかまぼこ会社とキャラ弁・デコ弁愛好者の主婦とのコラボレーションで生まれた。インスタ映え抜群のカラフルさだがアイディアの源になったのは、富山伝統のかまぼこだった──!
お弁当のデコレーション、おもてなし料理の彩りとして欠かせないのりや卵、かにかまといったさまざまな食品。そんな中、話題になっているのが、シート状のかまぼこ『ととしーと』(1枚120円、8色セット800円)だ。
切ったり、型を抜いたりと、紙粘土のように簡単に形を変えることができる。
開発したのは富山県の老舗かまぼこメーカー、生地蒲鉾。富山県は、豊富な水産資源と伝統の職人技で独特のかまぼこ文化を持つ地域。同社から販売している富山名産の「巻かまぼこ」は、板がついておらず、昆布やすり身に赤や青の着色をした皮が渦巻き状になっている。
ある日、同社へ「巻かまぼこの“皮”だけを販売できないか?」という声が届いた。その主は県内在住の主婦、堀川菊美さん。堀川さんはカラフルなお弁当を作る中で、食品では出しづらい青や赤の色合いを出すのに、巻かまぼこの皮の部分をはがして使っており、しかも、同じようなことをしている人が全国にたくさんいるという。
彼女の話を聞くうちに、もしかしたら需要があるかもしれないと思い、2017年5月に開発が始まった。
試作の段階で役に立ったのはインスタグラムだった。実は、堀川さんは、1万人以上のフォロワーをもつ人気インスタグラマー。フォロワーを通じて、100人にモニターになってもらい、商品のサイズ感やカラーバリエーションを詰めていった。
こうして選ばれたのは、全8色。たびたび試作を重ね、何度も色味を調整しながらなるべく使いやすい色に近づけていった。中には黄や黒といった従来では、薄焼き卵やのりなどで使われていた色もバリエーションに加えた。
卵はちぎれやすく、のりは時間が経つと湿気て縮んでしまうという悩みを解消するためだ。また、鮮やかな色を最大限にアピールするために、パッケージのデザインも工夫した。白で描かれた線画がカラフルな『ととしーと』を背景に楽しく躍っている。
2018年5月に発売すると、堀川さんのフォロワーをはじめ、キャラ弁(キャラクター弁当)・デコ弁(デコレーション弁当)愛好者の中であっという間に話題になった。青やオレンジや紫といった今までにない色と、シート状で自分の好きなように作ることができるという点が大いに受けたのだ。
加えて、かまぼこでできているため、魚が苦手な子供も安心してDHAを摂取できる。今では、SNS上では『ととしーと』を使ったアイディアに満ちた写真がアップされている。
クリスマスやお正月などおもてなし料理を作る機会が増えるこれからの時期、上手に取り入れて周囲をあっと驚かせてはいかがだろう。
※女性セブン2019年1月3・10日号