芸能

朝ドラ『まんぷく』 福子の夫・萬平は捕まりすぎじゃないか

試写会に登壇した安藤サクラと長谷川博己

 NHK朝ドラへの注目度、期待感は高い。であるがゆえに、“違和感”がことさら目立ってしまうのも事実。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 またか。NHK連続テレビ小説『まんぷく』に、もう満腹です。10月にスタートして3ヶ月。その間に主人公・立花福子の夫、萬平は何と3回も逮捕され牢屋にぶちこまれてしまいました。「捕まる」というエピソードがもう満腹すぎて、視聴者のおなかはいっぱい。

 物語は、ご存じのようにインスタントラーメンを開発した日清食品創業者・安藤百福と仁子の夫妻がモデル(ドラマでは萬平と福子)です。しかし、あくまで「モデル」ということで安藤さんの実人生を忠実になぞる筋立ではありません。フィクションの部分も多く、何よりもまず安藤百福さんの出自=台湾という部分を、ドラマでは完全に切り離しています(萬平は日本人の設定)。

 一方、萬平はアイディアマンで発明家気質で、次々に工夫を凝らし新商品を世に送り出す。そのあたりは百福さんと重なります。そう、「インスタントラーメンを発明する」ということ自体が現実の出来事です。

 つまり、この朝ドラの脚本はある部分は事実を踏襲していますが、随所に大胆なフィクションをとり入れている。それならば……いくら安藤百福さんの実人生が艱難辛苦の連続で何度も投獄されたのだとしても、ドラマで3ヶ月間に敢えて3回も「逮捕されて投獄」という展開にする必要は、ないのではないでしょうか。もう鉄の柵やMPの文字は見飽きました。

 出演俳優に目を向ければ、まさにキラ星のごとし。安藤サクラ、長谷川博己、桐谷健太、松下奈緒、要潤……と芸達者がズラリ。それぞれが一生懸命、役柄を演じようとしています。繰り返し逮捕される長谷川博己さんなんて、どうやって演じ分けるか苦心しているでしょう。ひたすら夫を待つ妻の安藤サクラさんも。役者はさぞや大変だろうなぁと、お茶の間で同情したくなります。もっともっと、長谷川博巳や安藤サクラにしかできない味の演技を見てみたいな、と感じます。

 考えてみれば、朝ドラは半年間という長丁場。かつ、毎日数千万人の目が向けられる。その脚本ほど難しいものはないのかもしれません。変化しながら一貫性をもち続け、視聴者を飽きさせず、広い年齢層を満足させ、時にほっこりと感動させ、時に涙させるといった筋書きを作り出すのは至難の業でしょう。

 朝ドラはいわば国民的大プロジェクト。だとすれば、そもそも一個人の脚本家の着想にだけ依拠しているような仕事ではないのかも。同じエピソードがこうも繰り返されると、そんなことを考えてしまいます。

関連記事

トピックス

元皇族の眞子さんが極秘出産していたことが報じられた
《極秘出産の眞子さんと“義母”》小室圭さんの母親・佳代さんには“直接おめでたの連絡” 干渉しない嫁姑関係に関係者は「一番楽なタイプの姑と言えるかも」
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
川崎春花
女子ゴルフ“トリプルボギー不倫”で協会が男性キャディにだけ「厳罰」 別の男女トラブル発覚時に“前例”となることが避けられる内容の処分に
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン