2018年もっともブレイクした俳優にあげられる田中圭が、24時間でドラマを収録し、収録の様子を生放送した『田中圭24時間テレビ』(Abema TV)。これはドラマなのか、バラエティなのか。その枠を乗り越えた何かなのか。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が分析した。
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田中圭はスゴい、このコラムで伝えたいことはこれだけだ。
年末にもなると各テレビ局では、スペシャル番組が放送される。それはインターネットテレビも同様で、abemaTVでは12月15日から16日まで『田中圭24時間テレビ』という番組が配信された。番組名からもわかるように、今年ブレイクした俳優・田中圭が24時間連続で出演する番組である。
“24時間”とおおっぴらにうたう番組には大体目的があるもの。『24時間テレビ 愛は地球を救う』は募金の集金、アメリカの人気ドラマ『24』は主人公ジャック・バウアーによるテロ組織の壊滅だ。そして、『田中圭24時間テレビ』の目的はドラマ制作にある。
『田中圭24時間テレビ』では、田中が主演する1時間30分のドラマ『くちびるWANTED』、それを24時間で撮影、編集、配信するまでが描かれる。ドラマは全21シーンによって構成。1シーンに1人がゲスト出演し、田中と共演する。それを21回繰り返せば、ドラマが完成するといった具合。書いてみるだけは簡単だが、実践した田中は相当キツかっただろう。
タイトなスケジュールもあるが、それ以上に心が休まるヒマがない。『田中圭24時間テレビ』は2つのカメラで田中を追う。ドキュメンタリー班のカメラは、それこそ24時間収め続ける。普段なら一息つける移動中も司会を務める元フジテレビアナウンサー田中大貴、田中、そしてゲストのトークコーナーとなる。
ドラマ撮影中は、そこにドラマ班のカメラも加わる。カメラの位置を移動するちょっとした時間も田中アナによる取材。逐一、田中は「ちょっと影ができたのでカメラを移動しています」と現場の事情を解説する。
僕が田中を初めて認識したのは、山田孝之が主演したドラマ版『WATER BOYS』(2003年)だった。そこで演じていたのが山田の友達役。『おっさんずラブ』で人気役者となった田中だが、それ以前はこんな役柄が多かった。
ファースト作品集のタイトルは『花の周りを飛ぶ虫はいつも』、虫を自身に例えているのだろうか。なんとも皮肉なタイトルである。1年前までの田中は、”Mr.主人公の友達”とも例えてもいいバイプレイヤーだった。多くの作品に縁の下の力持ちとして登場していた期間が長い。ゆえに共演した俳優も多い。だから、20人を超えるゲストのほとんどが元共演者。
今回の企画が成立した理由の1つには、友達役から主人公に成り上がった田中圭といった役者の特色がある。そして、もう1つの理由は田中のトーク力の高さ。いや、丁寧さと言った方が適切かもしれない。シーン6で六角精児と共演した際、「休憩時間にお互いダメ人間だよね、という話で盛り上がったんですよ!」なんてエピソードトークを披露。1人分なら誰でもできるが、それを20人分やるからスゴい。