2019年はいったいどんなドラマが流行するのか――注目のキーワードは「おっさん」だという。コラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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2019年、どんな1年になるか、さまざまな予想がなされているが、1月スタートの新ドラマを見てびっくり。空前のおっさんブームが来ているではありませんか!!
たとえば高畑充希主演の『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)は、新米女性刑事牧野ひより(高畑)が、シェアハウスに暮らす退職した元刑事のおっさんたち(近藤正臣、小日向文世、野口五郎、角野卓造、西島秀俊)に助けられ、事件に立ち向かうというストーリー。キャッチフレーズは「わたしの相棒は、ワザあり、クセあり、持病あり」である。
現役おっさん刑事が頑張るのが、『記憶捜査~新宿東署事件ファイル』(テレビ東京系)の北大路欣也と『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の沢村一樹。北大路はある事件がきっかけで車いす生活だが、抜群の記憶力で事件を推理し、若手刑事(風間俊介)らを動かしていく。一方、『刑事ゼロ』の沢村は、なんと記憶喪失のおっさん。記憶力抜群VS記憶喪失。正反対だが、北大路の共演には宅麻伸、勝野洋、沢村の共演には武田鉄矢、寺島進、渡辺いっけいと、どちらのドラマもおっさん濃度が高いのは共通している。
さらに『バイプレイャーズ~もしも名脇役5人がテレ東朝ドラで無人島生活したら』(テレビ東京系)などでもいい味を出していた光石研が主演する『デザイナー 渋井直人の休日』(テレビ東京系)がスタート。常に何かが始まる予感がしているおっさんを描くという。いったい何が始まるんでしょうか? ここにも岩松了、杉本哲太など気になるおっさんキャストが。
そして、この冬、大車輪の活躍を見せるおっさんが、遠藤憲一だ。2018年も『ドロ刑-警視庁捜査三課』など多数のドラマに出演、ゲストで出た『嵐にしやがれ』などでは客席の女の子たちからキャーキャー言われる。おっさんスターの代表格だが、新年は『私のおじさん―WATAOJI』(テレビ朝日系)では、無理無体な仕事を振られ涙目の新人AD女子(岡田結実)の前に突然現れた、毒舌おっさん妖精(!)。
かと思えば、『さすらい温泉 遠藤憲一』(テレビ東京系)では、役者を引退してさすらいの温泉仲居男となり、各地の名湯で湯けむり美女と出会う。なんでもできちゃうんですね…。
こうしたおっさんドラマブームの背景には、『バイプレイヤーズ』や『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)の成功がある。特に『おっさんずラブ』は、美男美女が織りなす若い世代向けのラブコメに手詰まり感が出てきた中で、突如出てきたおっさんの純愛物語。新鮮かつ感動的だった。
ベテランたちは、キャリアもあり、シリアスからコメディまで演技の幅は広い。こわもての印象がガラリとお茶目に変わる意外性もあって、キャラクターも奥深い。おっさん俳優に任せておけば大丈夫!
そんな空気も感じる新年だが、ひとつ心配なのは、あまりにおっさん俳優が出過ぎではないかということ。水面下でキャストの奪い合いがあったのではと思うほどだ。おっさんは一日して成らず。新たなおっさんキャラはすぐには出てこない。「同じような顔ぶれ」と思われない配慮は必定だ。NHK大河ドラマ『いだてん』もかなりおっさん率高し。おっさんドラマブームはどこまで続く? 2019年ドラマの注目点のひとつになるのかも。