「平成最後」の甲子園を春夏連覇した西谷浩一監督インタビューの最終回(第3回)。大阪桐蔭を長く取材するスポーツジャーナリストの古内義明氏が、高校野球の問題点、歴代最多優勝監督、そして、新しい元号を迎える今季の目標などを訊いた。
──何をしている時、気持ちが休まりますか?
西谷監督:趣味は特にありません。趣味を持てるような人になりたいです(笑)。余裕がない人間ですね。結果として、「365日24時間」、野球のことばかり考えることになります。
──プロ野球やメジャーリーグなど、野球は観ますか?
西谷監督:ゆっくりと観ることはあまりないですが、メジャーリーグもプロ野球も時間があれば観ます。また、教え子の選手情報は自然と入ってきます。寮の壁には上の舞台で活躍する選手の新聞の切り抜き張っています。都市対抗野球や明治神宮大会で出場選手名簿が出たら、蛍光ペンで塗って、壁に張っています。大阪桐蔭高校OBが活躍していることを、今いる選手たちにできるだけ目に入れるようにしています。
──タイブレークや球数制限など、新たなルールが出てきましたが一番気になることはな何でしょう。
西谷監督:タイブレークはまだ実際に体験したことはないです。昨年の春の選抜、準決勝の三重高校戦は、延長12回まで進み、タイブレークの事も考えながら采配はしましたが、3対2でサヨナラ勝ちできたので、まだ未体験です。
時代の流れでタイブレークになっていくことは仕方がないことです。グラウンドに立つ指導者としては、人工的に作られた点の取れる状況ではなく、最後まで同じ状況でプレーさせてあげたいという思いを持っていると思います。
球数制限も小学校や中学校では、世界的な流れになってきています。近い将来は球数制限も導入されてくると思います。昨年の甲子園は4名の投手(柿木蓮、根尾昴、横川凱、森本昂佑)を登録し、1名が怪我をして実際は3名の投手で回したように、投手に関しては一人で完投させるということは考えていません。
──野球人口が激減している中で、今後の高校野球がどのようになっていくと思いますか?
西谷監督:昔の感覚では野球の人材不足はないと思っていましたが、時代は変化してきているので、何か考えていかなければいけません。中学生の部員数減少の余波は、必ず高校野球にも影響してきますので、あぐらをかいていたらいけないと思います。
例えば、大阪桐蔭女子サッカー部では、サッカーに親しんでもらうために中学生のためのクラブチームを立ち上げたりしています。クラブチームから持ち上がり、大阪桐蔭で活躍してもらうように、自らの手で競技人口を増やす活動をサッカー界はしています。これは高校球界にはまだない活動です。全員が幼い時から野球に慣れ親しむ環境では無くなってきているので、野球界も土壌を耕すような活動をしていかなければならないと思います。