2019年の日本を待ち受けるのは、激動と混沌の世界情勢だ。全面的な対決へと移行しつつある米中関係、欧米に押し寄せる移民・難民による不安定化の大波、次々に飛び火する経済危機……。それらの背景には、ボーダレス化の進展とともに“壁”を求める“自国第一主義の連鎖”がある。経営コンサルタントの大前研一氏は、そうした世界の潮流に新たな変化が生じていると見る。
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昨年12月の米中首脳会談で、ドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席は、アメリカが今年1月1日から予定していた2000億ドル分の中国製品に対する輸入関税の引き上げを90日間延期することで合意し、米中貿易戦争は「一時休戦」と報じられた。
しかし、その直後にトランプ大統領は「私はタリフマン(関税の男)だ」とツイートし、通商協議が不調に終わった場合は追加関税を課す方針を示して牽制。さらに、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)」の創業者の娘で副会長兼CFO(最高財務責任者)の孟晩舟氏がアメリカの要請によりカナダで逮捕されたことで、米中関係はいっそう悪化し、報復合戦になる懸念がある。
一方、昨年のアメリカ中間選挙では、本質的かつ永続的と思われるアメリカ社会の構造変化が起きた。
まず、若者の投票率が大幅に上がったこと。4年前は21%だった18~29歳の若者の投票率が今回は31%に達し、そのうち約7割が民主党に投票したと報じられた。もう一つは、女性が圧倒的に民主党を支持したことだ。その結果、民主党から史上初のイスラム教徒やアメリカ先住民ら多数の女性議員が誕生したのである。