「あの時、早めに病院に行っていれば」「あの時、安易に手術を受けなければ」──身体の異変に気づいた時、患者が冷静な判断を下すことは難しい。医者の言いなりになってしまったり、勝手な思い込みで行動してしまったり……。後々になってそれが重大な分岐点だったことに気付いても、後悔先に立たずだ。
定年退職し悠々自適な生活を送っていたA氏(71)は数日間、「微熱」と「だるさ」を感じていた。平熱は36度前後だが、熱を計ってみると37度ほど。息切れと胸痛が生じて、ゴホゴホと咳き込む日が続く。
「この程度なら、放っておけば治るだろう」と自宅で静養していたが、症状はなかなか収まらなかった。このケースについて、秋津医院院長の秋津壽男医師は、「すぐ病院に行くべきだ」と指摘する。
「発熱が数日続くのは、体がSOSを発しているからです。仮に『普通の風邪』だったとしても、体力の低下した高齢者が風邪をこじらせると肺炎などのリスクが増すため、症状が治まらない段階で早めに受診すべきです」(秋津医師)
しかし、ただの風邪と思っている場合、A氏のように腰が重くなるのも分かる。米山医院院長の米山公啓医師は、以下の症状が受診の目安になると指摘する。
「熱が5日以上続き、咳が止まらない場合は単なる風邪ではないかもしれないので、必ず受診すべきです」
◆初診は「大病院」か「クリニック」か