3度目の逮捕で正月を拘置所で迎えることになった日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者。昨年11月19日の最初の逮捕からすでに1か月半が経ったが、東京地検特捜部は焦りの色を濃くしている。
「通訳を交えた事情聴取に想定以上に時間がかかり、加えてゴーン氏のしっかりとした理論武装を崩せずにいる」(経済部記者)
12月20日の勾留延長却下を受けて、特別背任容疑で3度目の逮捕に踏み切った特捜部と、“クーデター”を仕掛けた日産の西川広人社長は、「ゴーン保釈後」への警戒心を高めているという。ジャーナリストの伊藤博敏氏が解説する。
「私的な投資の損失補填を巡るゴーン氏の付け替えが、特別背任の要件を満たすかどうかという点に疑問が残る。そこを突いたゴーン氏が内外のメディア取材に『不当逮捕』を訴えるのは必至。日産に対しても、『不当解任』だと強くたたみかけるでしょう。損害賠償請求や地位保全の訴えを起こす可能性もある」
仏ルノーは、推定無罪を理由にゴーン容疑者を会長職に留め置いたままにしており、「検察&日産」vs「ゴーン&ルノー」の構図になると考えられる。
日仏の“国益”をかけた全面衝突が始まる。
※週刊ポスト2019年1月11日号