日本のお正月に欠かせないものと言えば「鏡餅」だが、いつまで飾っておくべきなのだろうか──。
正月に飾る鏡餅は、年神様(としがみさま)への供え物だ。日本の伝統文化を伝える『しつらい教室「食和家」』を主宰する、大田サチさんが説明する。
「鏡は神が宿るもの、餅は稲の霊が宿るものとされ、この2つの意味を持つ鏡餅を供え、その年の平安を祈るのです」
12月28日に飾り始め、1月11日が鏡開き。この日に鏡餅をみんなで割って食べるのが習わしだ。日本和食卓文化協会代表理事の槻谷順子さんは話す。
「神様にお供えしたものを、私たちがいただくことを『直会(なおらい)』といいます。神様が宿ったものに刃物を使うのは失礼。切るのは縁起が悪いということで、“開く”と表現し、できるだけ木槌や手を使って小さく割ってから料理します」
一方、正月に飾ったしめ飾りや門松などは、松が明ける7日まで飾ったのち、片づけるのが基本。それを集めて神社の境内や田んぼ、海岸などに積み上げ、14日の夜から15日の朝にかけて火をつけて燃やすのが、「左義長(さぎちょう)」という火祭り行事だ。
地方によってはどんど焼き、さいと焼き、道祖神祭りなどさまざまな呼び方がある。年神様はこの煙に乗って山に帰ると伝えられ、煙を浴び、餅や団子を焼いて食べると、その一年を健康に過ごせるといわれている。最近では15日前後の土日に実施されるところが多い。
※女性セブン2019年1月17・24日号