NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に「落語の神様」古今亭志ん生役で出演するビートたけし。実際に高座に上がり、ナレーション的役割を果たすほか、「自由に笑わせて」なんてカンペが出るため、毎回、若手芸人のようにネタを考えて収録に臨んでいる。新刊『さみしさの研究』も話題のたけしが、テレビじゃ言えない『いだてん』ウラ噺をお届けする。
* * *
とはいえ、出演は高座の上だけってワケでもないぜ。志ん生さんの家の中って設定で、ホームドラマもやってるんだ。オイラのカミさん役が池波志乃さんで、娘が小泉今日子。さらに住み込みの弟子2人が、荒川良々と神木隆之介でさ。そこでドタバタ劇が繰り広げられるというね。
なんせ、池波さんは志ん生さんの実の孫だからね。つまりオイラは彼女のお祖父さんを演じるわけだよ。血の繋がってる人の前で演じるのはさすがにプレッシャーもかかってさ。
だからよく聞くんだよ。「オイラで大丈夫ですか?」って。そしたら池波さんは「大丈夫! よく似てますよ」なんて言ってくれてさ。
でもオイラに気を遣ってるんじゃないかって、旦那の中尾彬さんにも聞いたんだよ。オイラの映画『龍三と七人の子分たち』にも出てもらった縁があるからさ。そしたら中尾さんも「本当に似てる」って言うから、ありがたいことだね。
どうも、オイラはちょっとだけ志ん生さんに声が似てるみたいなんだよな。志ん生さんの落語は子供の頃にナマで聴いたことがあるんだけど、もう60年以上も前の話だからさ。似てるかどうかは自分じゃ分からない。だけど今回演じることになって改めて志ん生さんのテープを聴いてみると、やっぱり「うめぇな」って思うよね。