生活習慣病をはじめ、高齢者がかかりやすい病気の治療にはさまざまな場面で二択が現われる。
たとえば、糖尿病は食事によって上がった血糖値が下がらなくなる病気である。何らかの原因により、血糖値を下げるホルモンを分泌する「膵臓」の働きが悪くなることで発症する。
カロリー制限は、摂取カロリー量を減らすことで、糖尿病を引き起こす危険因子である「肥満」を解消するやり方だ。一方の糖質制限は、“血糖値は糖質を摂取すると上昇する”ということに着目し、糖質の摂取量のみを減らすことで血糖値の上昇を抑える。
糖尿病対策にどちらが適しているかの医学的なエビデンスはいまだ存在しない。だが、生活スタイルによってそれぞれ“向き不向き”がある。
「1日3食、食事を摂りたい人は、どうしても糖質の摂取量が増えやすいため『カロリー制限』のほうがやりやすいでしょう。その際、夜はどうしてもカロリー過多になりがちなので注意してください」(にしだわたる糖尿病内科の西田亙医師)
夜遅くに食事をすることの多い人は「糖質制限」が有効だ。
「午後9時以降に炭水化物を摂取すると、寝ている間に血糖値が上昇してしまいます。すると睡眠時に膵臓を休められなくなり、血糖値を下げる機能が低下して糖尿病が発症しやすくなる。寝る前にお腹がすいてしまう人は、糖質を減らすのが有効です」(西田氏)
※週刊ポスト2019年1月11日号