2018年の検索語上位として記録された「漫画村」は、漫画の海賊版サイトの代表的存在として国会でも取り上げられるほど大きな社会問題となりました。各方面の専門家が問題視するなか、漫画村運営の実態が少しずつ明るみに出始めています。漫画家のたまきちひろさんの依頼を受けて、漫画村問題の追及を続けている中島博之弁護士が、海賊版サイトの問題点について解説しました。
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漫画村で漫画を読むことの何が悪いのか?という声が未だに聞かれます。著作権侵害が著しいサービスを利用することは、本来、作者が受け取る報酬を奪い、報酬が得られなければ仕事としての漫画が成り立たず、漫画家は仕事を続けられなくなります。もし、そうなったら、私たちは新しい漫画を読めない世界で暮らさねばならないかもしれません。そんな世の中にはしたくないと考える漫画家のたまきちひろ先生と立ち上がり、漫画村の運営者の責任を追及するために、法律家として動いています。
漫画村の運営者が、著作権法などの法律を守っていないことは、明らかです。日本という国は、法律というルールを守ることで皆が暮らしている社会なのですから、法律の専門家として、この状態は見過ごせません。運営者は、法を守らなかった刑事責任を負うべきだと考えていますし、民事でも責任を負うべきだと思います。
たまき先生は、このまま海賊版問題を放置すると、漫画そのものがなくなってしまうかもしれないという危機感を持って、漫画村の問題に取り組んでいます。法律家ではありますが、私自身も漫画のない未来はやってきて欲しくないと考えています。漫画がない人生なんて、想像がつきません。
実家には手塚治虫作品が全巻そろっていましたので、『ブラックジャック』をはじめとした手塚漫画は繰り返し読みました。漫画雑誌では『コミックボンボン』を小学生のときに愛読していたのですが、大人になって、廃刊した(※2017年に休刊、2017年からWEB漫画として再開)と知ったときはショックでした。掲載誌が休刊してしまった神堂潤先生の『redEyes』も好きな漫画ですが、一年に一回くらい単行本が出版されるので、見逃さずに読み続けています。最近は『封神演義』の藤崎竜先生が描いている『銀河英雄伝説』の漫画連載が楽しみです。
他にも漫画を描くことを諦めなかった、ひよどり祥子先生の『死人の声をきくがよい』も好きです。過去に自費出版を行うなど厳しい時期があったそうなのですが、それでも自分の作風を信じて描き続けて今がある先生で、そういう人は、やはり応援したいですね。
そんなふうに、漫画を読み続けていると、まだ知らない、面白い漫画に出会えます。でも、もし漫画村のような海賊版サイトを放置してしまったら……。漫画を描き続けてくれる漫画家さんがいなくなり、新しい漫画との出会いがなくなってしまうでしょう。
海賊版サイトの運営は、人の著作物を勝手に使っているのですから、やはり悪意があると言わざるを得ません。もちろん、その運営をできないようにすることが根本的な解決となりますが、やはり、読むだけの利用者にも少し考えて欲しいことがあります。
自分ひとりくらい盗み見ても問題ない、と思ってはいませんか? 同じように自分だけなら問題ないだろうという人が何万人、何百万人、何千万人と広がったら……。本来なら、作品を読んでもらうことで作者が得ていたはずの報酬が、無関係の他人に渡ります。作者には一円も入りません。そういう大問題を海賊版サイト、とくに漫画村は起こしました。