体の異変や病気の兆候を感じた時から二者択一は始まっている。例えば、昨日までは何ともなかったのに、今朝起きたら何だか全身がゾクゾクして寒気がする。微熱もあるようだ。解熱剤ですぐ熱を下げるか、それとも葛根湯などの漢方薬を飲むべきか──。
『長生きするのはどっち?』の著者で秋津医院院長の秋津壽男氏(内科医)は、「漢方薬を服用したほうが悪化しにくくなるケースが多い」と指摘する。
「寒気や熱は風邪を初期症状のうちに治すための防御反応です。発熱でウイルスの増殖や活動性を弱め、咳や鼻水の力を借りてウイルスを体外に追い出そうとします。
漢方薬は、このような体の免疫力を高めることでウイルスを退治するのです。葛根湯のほか、麻黄湯、小青竜湯に発熱を助けて発汗させる働きがあるとされています」
一方の解熱剤は、そうした「自然治癒力」を損なう怖れがある。
「解熱剤は、風邪を根治するのではなく、諸症状を抑えてつらさを和らげるための薬です。これにより発熱、咳、鼻水といった防御反応を抑え込むとウイルスと戦えなくなり、逆に風邪が長引く怖れがあります」(秋津氏)
ただし、体調不良が長引く場合は注意したい。
「寒気が、肺がんや肺炎など重篤な疾患のサインとなるケースもあります。目安として、1週間以上寒気が続いたら医療機関を受診すべきです。また咳や鼻水を伴わず体温が38度を超える場合はインフルエンザの可能性があり、すぐに通院してほしい」(秋津氏)
※週刊ポスト2019年1月18・25日号