国内

ケーキ、チキン、おせち 巧妙化する従業員への買取強要

ケーキ、おせち、恵方巻もノルマと買取強要から逃れられない

 お正月の三が日を過ぎると、コンビニやスーパーマーケットでは途端に、節分の飾り付けが登場する。大手コンビニによって2000年代に全国で認知されるようになった、恵方巻の予約を呼びかける垂れ幕やのぼりも出現する。近年では、恵方巻をはじめとした季節の食べ物の厳しい販売ノルマと買取強要がSNSや報道で問題視されたため、ノルマの強要は減ったと言われる。ところが、より巧妙に買取強要は継続されている。ライターの森鷹久氏が、その実態をレポートする。

 * * *
 友達との与太話から近所で起きた事故、政界を揺るがすような大暴露まで、ありとあらゆる情報が当事者によりSNSで発信、拡散されるようになった現代。昨年はパワハラ、セクハラ問題がこうしたSNS告発によって明らかになるパターンも散見されたわけだが、年末から年明けにかけて、とある業界でもまた同じような告発を行おうとする若者がいた。いったい何が起きたのか?

「クリスマスのチキン、ケーキを僕らバイトが買わなきゃいけないっていう例のアレ。毎年ネットで話題になるし、ワイドショーでもやってるのに、うちの店長はバカなのかアホなのか…」

 ため息交じりに打ち明けてくれたのは、埼玉県K市のコンビニ店でアルバイトする大学生のシンゴさん(21)。若者らしくSNS上で起きる様々なコト・モノを把握しているため、勤務先のコンビニ店長からクリスマスチキン、そしてケーキの予約を取ってくるようにといわれた瞬間に「アレだ」とピンと来たのである。アルバイトやパート従業員へのこうした買取・予約の強要はほとんど社会問題化しており、各コンビニ本部、大手小売店本部から「強要を禁止する通達が出ているとみられる」(大手紙経済部記者)というが…。

「実は店長、同級生のオヤジなんですよね…。古くから家族づきあいもあるし、今年も平然と言ってきたんです。でも、新入りのバイトは縁故採用でなく外から入ってきた子。友人まで限定公開のSNSに“チキン、ケーキの強要”を上げていたのを僕が発見し、店長に報告したんです」(シンゴさん)

 新入りバイトが首になるのか、それとも強要が大拡散され、店が廃業に追い込まれるのか…。シンゴさんは固唾を飲んで見守ったが、結果は予想外の方向へ転がった。

「店長がバイトを集めて、ワンワン泣いて謝ったんですよね…。本部の目もあり、最低でもウン十個は売らなきゃいけないと。最後は新入りバイトに土下座して、頼むから投稿を消してくれと。もう見てられなくて、バイトも逆に謝っちゃったりして…。ネット(告発)のおかげで、俺らも無駄な買い物しなくて済んだと思う反面、店長のこと思うと心痛むんすよ…友達の親だし」(シンゴさん)

関連記事

トピックス

近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見なえい恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン