1年を24に区切って表す「二十四節気」は古代中国から伝わった暦からきた言葉。立春から始まり、立夏、立秋、立冬と季節が移ろう。
日本の伝統文化を伝える『しつらい教室「食和家」』を主宰する、大田サチさんは、「節分とは、季節の節目である立春、立夏、立秋、立冬の前日のことで、四季の終わりの日を示しています。年に4回あり、“せちわかれ”ともいいますが、今では立春の前日だけに節分行事が行われています」と、説明する。
立春はニュースなどで、「暦の上では春ですが」などと表現されるように、まだまだ寒さが厳しい時期。19日の「雨水」を過ぎると、雪が水へと変わり、少しずつ春が近づいてくる。
花見といえば、現代では桜が思い浮かぶが、奈良時代の花見といえば中国から伝来したばかりの梅。ちなみに桜になったのは平安時代から。2月下旬には各地で梅まつりが開催される。
2月のイベントといえば、節分がある。節分で鬼を追い払うのになぜ豆を使うのか。それは、豆は「魔滅(まめ)」に通じ、「魔」の「目」を打ち、退治できるからだ。
日本での豆まきの風習は室町時代からのものだが、もとをただせば、中国の秦の時代から行われていた、桃の弓や葦の矢で鬼を祓う「追儺(ついな)」や「鬼やらい」という行事からきている。
「寒さによる疫病や災害を鬼にたとえ、立春の前日に、神様が宿る豆を鬼の目に投げつけて退治するようになりました。炒った豆を使うのは、『炒る』が『射る』と同音なので、鬼を退治することになるからという説もあります。
ちなみに、鬼は鬼門である東北の方角からやってきます。十二支でいえば丑寅の方角にあたるので、鬼は牛の角と虎の牙、虎のパンツを身に着けているのでしょう」(大田さん)
日本では、季節の変わり目に生じる邪気を追い払う意味で「鬼は外! 福は内!」と言いながら豆をまく。鬼が入ってこないようにすぐにドアを閉めることが大切だ。
節分でまく炒った大豆のことを福豆と呼ぶ。豆はまくだけでなく、年の数だけ(地域によっては+1粒)食べる風習も。
また、鬼がにおいを嫌う鰯を焼き、鬼の目を刺す柊の葉を組み合わせた魔除けに柊鰯(ひいらぎいわし)がある。西日本では「節分いわし」といい、食べる習慣もある。
◆「恵方巻き」の全国進出は平成から
節分の夜、“恵方”を向いて、太巻き寿司を無言で食べると、無病息災で一年が過ごせると、「恵方巻き」を食べるようになって久しい。日本和食卓文化協会代表理事の槻谷順子さんは話す。
「一時はすっかり忘れ去られていた節分が、昨今の恵方巻きブームで復活しています。関西では“まるかぶり寿司”などの名前で、昔から行われていたこの習慣が、全国に広がったのはここ10年くらいのこと。
旧暦では、節分は大晦日、立春は正月にあたるので、おせち料理を食べてもいいのですが、すでに正月に食べてしまっており、節分にぴったりの食事がなかったところに、恵方巻きがハマったのです」(槻谷さん)
※女性セブン2019年1月17・24日号