中国東北部の吉林省の高等裁判所で1月7日、1994年に死刑判決を受けた元死刑囚、劉忠林さん(50)の殺人罪が冤罪だったことが確定したとして、その賠償金として国家が劉さんに約460万元(7400万円)を支払ったことが明らかになった。冤罪の賠償額としては、中国では最高額だ。
劉さんは1990年10月、22歳のとき殺人罪で逮捕されてから、9217日、実に25年あまりを牢獄で過ごしたことになる。劉さんは「20代から40代後半という人生で最も充実した時間を奪われた」として、約1580万元(約2億5000万円)の損害賠償請求を行っていたが、裁判所が認めたのは、その約3分の1だった。
劉さんは吉林省東遼県会民村の河川に浮かんだ状態で発見された18歳の女性を殺害した容疑で逮捕されたが、一貫して無実を主張。しかし、劉さんのアリバイを証明することができず、当日、現場付近で劉さんが目撃されたとの状況証拠などから2年間の執行猶予付き死刑判決を受けた。2年後、服役中の態度が良いことから無期懲役に減刑され、2016年1月22日に釈放された。
それに先立ち、劉さんは無罪を主張し続けていたことから、吉林省高等裁判所は2012年3月28日、劉さんの裁判の再審を決定していた。裁判所は2018年4月20日、再審の結果、「劉さんが殺人を犯したとの確固たる証拠はない」と判断し、冤罪であることを認める判断を下した。
劉さんは弁護士と相談して、冤罪の結果25年以上もの貴重な時間が奪われたとして、約1580万元の賠償請求を行ったが、裁判所は今年1月7日、精神的な苦痛に関する賠償額が197万5552元、肉体的な自由が拘束されたことへの賠償額を262万4448元とする決定を下した。これらの合計が460万元だ。